早朝5時半に起きる。 テント内の気温は9度・・・ ちなみに数時間後に気温は40度を超え、温度計は測定不能になった。
『Sesriem Camp Site』に泊まった客は5時45分から、それ以外の客は7時から国立公園内に入ることが出来る。
それだけのために、今回『Sesriem Camp Site』に泊まったのだ。 朝日が砂丘を照らす光の部分と、その裏の影の部分のコントラストが、砂丘が一番美しい時であり、それを見るには太陽が昇る前から待機していなければいけない。
他の宿泊客たちも、我先にとソススフレイを目指す。 ゲートから一番奥のソススフレイまでは約70kmの距離だ。
ただ、実際に一番奥まで行けるのは4WDのみ。 普通車は5km手前の駐車場に車を止めて、歩いて行くか、有料シャトルバスを使わなければいけない。
前回は5km手前の普通車用駐車場から歩いて暑さで死にそうになったが、今回は一番奥まで自分の車で行ける〜。
早速、2WDから4WDに切り替え、何の役に立つか分からんが『Diff Lock』と書かれたスイッチを押し、前輪の真ん中に付いてるやつを捻って『Lock』に合わせる。 なんだか知らないが、中古車ディーラーのお兄さんが言うには、これがスゴイらしい。
砂漠を勢いよく走っていると、俺の先に進んでいったトヨタ・コンドールが砂に埋まって立ち往生している。 しかも2台。
朝日より早く一番奥に着きたかったけど、見捨てるわけにもいかず、助ける。 見ていると、ただ引っ張ったり、押したりしているので、タイヤの下に段ボールやシートを敷いて、バックをしたら無事に抜け出せた。
「良かった、良かった」と、車に乗り込み進もうとすると、今度は俺が砂にハマってしまった・・・ミイラ取りがミイラ。
助けた2台の人たちに助けられ、無事脱出出来たが。
ちなみにトヨタ車2台は、「無理だ」と戻っていった。 思ったけれど、4WDかどうかではなく、タイヤや車高の問題も大きい。 タイヤの幅が広いと砂に埋もり難いし、車高が高ければ、砂に突っ込んで止まることもない。
今回、砂漠での4WDの運転の仕方を学習した。
砂にハマって動かなくなっても、ギアをバックに入れて半クラッチでゆっくり進めば抜け出せるが、勢い良く出ようとアクセルを踏み込んだりすると、さらに砂にハマって抜け出せなくなる。
200m級の高さを誇る砂丘(というか、ほぼ山)を見て回った後、砂漠をドライブしてみる。 楽しい!
写真は砂漠の真ん中で撮ったものだが、もっとすごい所もある。 でも、そのすごい所で写真を撮るために止まったりすると、大変なことになるので、比較的おとなしい所で写真を撮ってみた。
昼1時ごろ、セスリエムを出発して大西洋岸の町スワコプムンドに向かう。
C19号線を北上して、約1時間ほど走ったところでエンジンルームから異常音が聞こえることに気が付いた。
路肩に止めようと、スピードを落として止まろうしていたらエンジンが勝手に止まった。
あれ?と見ると、ラジエターの水温計がHiになっている。
車を降りてみると、ボンネットの中から焼けたような臭いと、煙のようなものが出ている。 オーバーヒートってやつ?
車は好きだが、好きなのは格好と運転だけという俺は、ボンネットを開けてもさっぱり分からないから、ガソリンスタンドでアルバイト歴のある彼女に処置を任す。 ラジエターにホースで繋がっている半透明のタンクがあるのだが、その中の水が沸騰してボコボコいっている。
とりあえず水を掛けて熱を冷まして、数十分待って再びエンジンを掛けてみる。 苦しそうに唸っていたが、2度目で何とか掛かった。 でも水温計は未だに高い。
ここで戻るか、進むかの選択を迷った。 1kmほど戻れば、木陰のある所があったはずだ。 でも、とりあえず進んでみて木陰があればその下でエンジンを冷やすことにした。
ちょっと進むと、『3km先ガソリンスタンド』の看板が! 3km頑張って走って、ガソリンスタンドで車を見てもらうことにした。
『Solitaire』は、キャンプ場、レストラン、ガソリンスタンドを備えており、多くの4WDが止まっていた。 ガソリンスタンドで、車を点検して欲しいと言うと、白人のおじさんが出てきた。 自動車の整備士だそうだ。
エンジンルームの中を一通り点検したおじさんが色々説明してくれたが、それによるとラジエターと水が入っているタンクを繋ぐホースに穴が開いている上に、エンジンオイルが入っていなくて水の循環が全く出来ていなかったらしく、かなり危険な状態らしいということは理解出来た。
1時間半ほど、おじさんが修理しているのをボーっと見ていた。 途中で、「エンジンの状態次第で、レッカー車でウィンドフック(首都)まで持っていかないとダメかも」と言われる。 えー、まだ旅行に出て5日目だぜ・・・
最後におじさんに「You're very lucky」と言われた。
「もう99%エンジンが壊れる寸前で、1%遅かったら完全にエンジンが逝っちゃっていた」らしい。 でも取り合えず修理は終わって、「1974年に自動車整備士の資格を取った」というおじさんが、「このエンジン音は大丈夫だ!」と太鼓判を押してくれた。
俺ってホント運がよい。 まず、今回オーバーヒートしたのが、『Solitaire』を過ぎてからだったら、その先270kmは家が1軒もなく助けを呼べなかった。
ちなみにその後270kmを走るが、その間の4時間に出会った対向車は3台。
『Solitaire』が次の町までの最後の家であり、最後の修理可能な場所だった。 さらにもう少し遅れていたら、エンジン自体が故障して旅は終わっていた。 158万円で買った車も、2週間も乗らずに廃車になるところだった。
あと、俺に車の知識が全く無かったことも考えようによっては良かったかも。 水温計が下がったら、そのまま点検せずに走っていたかも知れないからな。
この5日間で走った走行距離は2,000kmを超え、日中の気温は40度。
さらに川を越えたり、今日のように砂漠を走ったり、車にとっては最悪の使用環境だ。 21万kmも走っている中古車だから、これだけの使い方をしたら、そりゃ機嫌を損ねるわな。 今後は労わりながら乗るとしよう。
しっかし、今日は色々なことを学習した。 砂漠での4WDの運転の仕方、ラジエターが車にとってすごく大事らしいということ。 また少し大人になった。
『Solitaire』を出てC14号線をひた走る。 途中、国立公園を横断する峠道が2箇所あり、その後はひたすら真っ直ぐ続く砂漠横断道路だ。
その270km続く道を、4時間掛けて走り抜ける。 故障したこともあり、80km/h以上はスピードを出さなかった。 途中、道路を横断するハイエナやスプリングボックを発見。 こんなとこで故障してたら、ハイエナに食われてたかも。
夜8時前に、ようやくナミビア第二の都市スワコプムンドに到着する。 ナミビアの“大阪”スワコプムンドだが、人口は2万5千人だ。 でも町の灯りがまぶしく映る。 砂漠から来ると大都会だ。 お店がいっぱいあるし、道路が舗装されている!
何を血迷ったか?彼女が選んだ宿は4つ星ホテルだった。 しかも、おごってくれるらしい。 どうやら彼女的には限界が来ていたようだ。
今日の教訓。 アフリカの大地を車で走ろうとするような人は、どこからエンジンオイルを入れるか?くらいの知識は持っておいた方が良い。
今日の走行距離; 523km
今日の出費(2人分);
ディーゼル代: 286.00ナミビアドル
修理費: 270.00ナミビアドル
合計: 556.00ナミビアドル(約9,170円)
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