村の近くにヒンバ族の集落があるというので、ガイドを雇って行ってみる。 ガイドを雇わなくても行けないことはないが、言葉が通じない。
プロスから5kmほどの所に、木の柵に囲まれたヒンバ族の集落があった。 集落に入るには、1人20ナミビアドル(約330円)いる。
一応、入る時に紙に名前などを書き込むのだが、『今まで日本人が来たのだろうか?』と疑問になって、今までの記録を見てみた。
すると、今年の3月12日にJapanから来ているではないか! えーっと、名前は・・・ “NHK”じゃん! さらにガイドいわく、以前に日本人の女性が半年ほどヒンバ語を学ぶために滞在していたことがあるらしい。
こんな所に来るなんて、NHKも、その人も変人だな。
集落には男性はおらず、女性だけだ。 男性は牛やヤギの放牧に出掛けているそうだ。 女性も若い子はおらず、ババアだけ。 ちぇっ
ヒンバ族の女性は、腰ミノだけでオッパイもろ出し、全身に“オカ”と呼ばれる赤石を潰した粉を塗り付けている。 もちろん、顔や髪にもだ。
理由は、肌をソフトに保つためと、美しく見えるためだそうだ。 “美しい”の基準って人によって違うからね。 デブ専もいるくらいだし。
子供は、大五郎(ロナウド)カットのヘアスタイルをしていたら、割礼済み。 それ以外のヘアスタイルだったら、割礼前だそうだ。
さらに、彼らは水浴びをしないそうだ。 確かに割礼前の子供の頭にはシラミがいる・・・
その子が鼻水を垂らしながら、「抱っこしてぇー」となぜか俺の方に来た。 彼女ではなく、俺の方に来たということは、純粋な子供の目には俺の方が心優しい人に見えたということだ。 子供は全て知っている。
シラミがいたので追い払ったが。
ちなみに、彼らの家は牛の糞で出来ている。
プロスを出て、カオコランドの南部を1周する形でオプウォ(Opuwo)に向かうことにした。
俺の持っているナミビアの地図2つとも、昨日から走っている道路は太い線でもなく、細い線でもなく、点線。
説明を見ると、『4X4 required』と書かれている。 カオコランドの中に入るには、こんな道しかない。
オプウォはカオコランド一の町らしい。 もう1泊プロスに泊まっても良かったのだが、とにかく電気がある所に行きたかった。
もう4日間も電気がなく、俺のデジカメ2台、パソコン、i-Pod、携帯電話、すべて電池切れ。
携帯はナミビアのSIMカードを入れてるのに、電波が入ったのはスワコプムンドくらいだった。
俺の優先順位は、1.命、2.車、3.パソコン、デジカメ、4.金、5.パスポートってくらい、電化製品の順位は高い。 自慢じゃないが、どんな秘境でも行けるが、電化製品の充電だけはしたい。 基本的にインドア派だから。
プロスからオルペムベ(Orupembe)までの120kmは最高のドライブコースだ。 四方を形の美しい山々に囲まれながら、ひたすら続く平原をひた走る。 ここの道路は良いので120km/hでも走れる。 でも、この道を“良い”と思うようになってしまった俺は終わってる・・・
ようやくオルペムペに着いた。 ここからほんの100kmほど北上すれば、内戦中のアンゴラとの国境だ。
ここオルペムペにもヒンバ族の集落がある。 見ると、若い子がいるではないか! しかも巨乳!
「写真撮らせてくれ」と交渉しに行くが、「お前なんか撮らねえよ」ってババアが出てきて、100ナミビアドル(約1,650円)払えとほざきやがった。
ヒンバ族が砂糖と水を欲しがるというので、物々交換にもっていこうとするが、ババア的には100ナミビアドルは譲れないらしい。 食えねぇ、ババアだ。
さすがに、オッパイに宿代より高い金を出すわけにもいかず、諦める。
オルペムペからカオコオタビ(Kaoko Otavi)までの200kmは悪路。 もう最近は地面の色を見たら、どれくらいスピードが出せる状態の地面なのか分かるようになってきた。
我ながら、そんな自分がアウトドア派になっちゃいそうで嫌。 赤茶色の土の時は、比較的デコボコが少なく、地面が硬いので100km/h以上出しても大丈夫。 白い土の時は、砂漠のように柔らかく深いので、車の横滑りに注意しなければいけない。 さらに大事なのは、途中で止まってはいけない。 砂にハマって抜け出すのが一苦労だから、ドリフトしながらでも勢いで走り抜けないと。 砂利道は、石の大きさと形によって走り方を変えないとパンクが怖い。 パリ−ダカール・ラリーに出ようかな?
200kmの道中には、幾つかのヒンバ族の集落を見ることが出来る。 だが、とにかく早く電化製品の充電がしたい俺は、砂埃をあげながらひた走る。 そのうちにバックミラーを見ても、後ろが見えなくなってきた。 後部ガラスに砂が積もってきたのだ。 砂の道路でちょっと深い溝に100km/hで突っ込むと、車高の高い4WDでも前のバンパーに当たって、砂がフロントガラスまで降ってくる。
スプリングボックと、ダチョウと、競争もした。
走っていると、道路の真ん中でポケーっとしていたスプリングボックが逃げ出したのは、俺と同じ進行方向。 面白かったので2kmほど追っ掛けてみたが、速い!
80km/h出しても追突出来なかった。 それ以上スピードを出すと、俺が崖から落ちてしまいそうだったので、それ以上のスピードは出せなかったが、スプリングボックが80km/h以上で走れるということは分かった。
ダチョウの場合も一緒だったが、彼も速かった。 ダチョウをパッシングしながら煽って知ったんだけど、ダチョウって首で舵を取ってるんだね。 後ろから見ていたら、蛇行する度に首がグニャグニャ曲がって面白い。 今日もまた少し大人になった。
途中、ケープタウンを出てからの走行距離が、ついに3,500kmを超えた。 百科事典には、日本の長さが3,500km以上と書いてある。 どこからどこまでと明記していないが、北海道の稚内から、沖ノ鳥島までだろうから、それの計算で行くと、稚内を出て11日間走って、もうすぐ台湾という距離だ。
オプウォの手前から、電柱が見えてきた。電気がある!
思った通り、オプウォは大都会だった。 ガソリンスタンドが3軒もある! スーパーマーケットも何軒かあるぜ。
ヒンバ族がオッパイもろ出しで街中をウロウロしているが、完全に観光客目当て。 だって、子供にまで“オカ”を塗って赤茶色にしてるけど、プロスや途中のヒンバ族の集落では、子供には塗っていなかったぜ。 あと、集落では必ずボスのババアが仕切っていて、子供なんて恥ずかしがってなかなか近づいてこなかったが、オプウォでは子供まで「1ドルくれ、甘いものくれ」と近づいてくるし。
リアル・ヒンバを見るんだったら、カオコランドの奥地まで入っていかないといけない。
オプウォで泊まることにした宿『Epupa Falls Campsite』で出会ったフランス人3人組はすごかった。
大学の教授連中らしいが、プロスからオプウォまで荷物をロバに載せて12日間掛けて歩いて来たそうだ・・・
俺がやろうと思ってたことを、やっている人がいた。 もう俺は絶対嫌だけど。 今日、俺が走ったルートと全く一緒だが、俺は約320kmを4時間で来たが、彼らは12日間で来たということだ。
3人の中のおばちゃんが、宿のオーナーと討論を始めた。 ヒンバ族は“人間動物園”だと。 集落に入るのに、金。 写真を撮るのに、金。 車で行けないようなところに徒歩で行った彼らいわく、奥地にはまだまだ擦れていないヒンバ族もいるが、例え4WDだろうが車で行けるような所のヒンバ族は擦れているそうだ。
俺の場合、同じ体験はイリアンジャヤのダニ族を見に行った時に既にしてあるから、ヒンバ族にも気分を害さなかったが、両方に共通して問題なのは、昔ながらの生活をしている彼らが、自分たちをピエロにして金をもらうという行為に虚しさを感じていないことだろう。
今日の走行距離; 336.1km
今日の出費(2人分);
テント設営代: 80.00ナミビアドル
ガイド料: 100.00ナミビアドル
村入場料: 40.00ナミビアドル
ヒンバ・ネックレス: 40.00ナミビアドル
ディーゼル代: 250.00ナミビアドル
雑費: 5.90ナミビアドル
合計: 515.90ナミビアドル(約8,510円)
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