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アジア横断シルクロード日記


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現在地はどこなの?

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ウズベキスタンとタジキスタンとの国境付近
2007年9月10日(月)
タジキスタン共和国

 今日は、タジキスタンについて熱く語ろうと思う。
 そう、今日は『タジキスタン共和国』に行って来た。 インターネットカフェよりも遠い場所に行くのは10日以上ぶりかも知れん。

 タジキスタンは、アフガニスタンの上にある。
 国土の大部分を山岳地帯が占め、最高峰のイスマイール・サーマーニー峰は7,495mある。
 特に東部の山岳バダフシャーン自治州は、大部分が世界の屋根パミール高原に当たり、峠道が4,272mとか、4,314mとか、4,655mとか、4,762mとか意味不明な高さにある。 富士山より高けぇーよ!
 民族は中央アジアでは唯一のイラン系で、テュルク系のキルギス人やウズベク人とは顔も言語も違う。 同じテュルク系のトルコ語を理解する人がウズベク語やキルギス語を理解出来るように、イラン語を理解する人はタジク語を理解することが出来る。
 つまり、どちらも理解しない俺は「そんな違い、どーでもいい」という結論に達することが出来るわけだ。

 そんなタジキスタンをこの目でみるべく、今日は珍しく気合入りまくりの俺。
 朝9時にセットしておいたはずの目覚ましに気付かず、寝坊して11時過ぎに目覚めてしまったほどである。 「行く前にタジキスタンについて予習をしなければ・・・」と、漫画『HUNTER×HUNTER』を朝4時まで読んでいた成果だろうか・・・?

 面倒くせーから、行くのを止めようかな?と思った俺だが、Breakfastを食いながらポケーっと迷った結果、やはり頑張って行ってみることにした。
 シャワーを浴びたり、タバコを吸ったり、何だかかんだと忙しく動き回っていたら、宿を出た時には午後1時になってしまっていた。

 ダマスに乗って国境に向かう。
 今回は全くの手ぶらである。 パスポートとコンパクト・カメラ以外は何も持っていない。 お金も敢えて10USドル相当のスムだけを持っていった。
 1時間強で国境に到着。
 ウズベキスタンの出入国管理官がパソコンでゲームをしていて、俺のパスポートを開こうとする気すらないのを見て「帰ろうかな?」と思ってしまったが、ここはグッと我慢。 「きっと俺のような一般人には理解出来ないような、ゲームをしなければいけない国家レベルの任務があるのだろう」、と考え直してゲームが終わるまで待つ。
 かっなりイライラしながらも、無事出国。 歩いて国境を越えて、タジキスタン領に入る。

 タジキスタン領に入って、「オッ?!」と思ったことが2つある。
 まずは国境の兵士の顔と腕毛が、「さすがイラン系・・・」と俺を唸らせるに足りるほど、無駄に濃くて無駄に多かった。
 そして2つ目が、国境の建物があまりに貧弱過ぎることだ。 コンクリート製のしっかりとした建物のウズベキスタン側と比べ、タジキスタン側は・・・
 道路工事などで仮設事務所として使うコンテナ・ハウスが彼らの事務所だった。 コンテナ・ハウスが3、4個並んで置かれていて、それぞれが出入国管理事務所、税関などに分かれている。
 すっげー、しょぼい。

 「俺が乗せて行ってやる」などと言う、税関職員の小遣い稼ぎ目的の誘いを断り、国境の最寄の町ペンジケントへ行く乗り物を待つ。
 国境には、タクシーが1台待っていただけで、当然のことながらスーパーぼったくり料金を吹っ掛けてきたので、シカト。
 仕方がないが、ペンジケントから国境まで来る乗合タクシーを待って、折り返し運転のそれに乗って行こう。

 30分待ったが、来ない・・・

 待つことに、だんだん飽きてきちゃった俺。
 この時は既に午後3時半を過ぎていて、西日がきつくなってきたせいもあり、ついに堪忍の尾が切れた。

 よしっ! 法外な値段だがタクシーに乗ろう!

 と、思う人がいるかどうか知らないが、

 よしっ! 帰ろう!

 と、帰ってきちゃいました。
 タジキスタン滞在、30分。 国境を越えてから20mくらいはタジク領に入り込んでます。
 俺が見たタジキスタンの全ては、写真の通り。

 今度、旅行者に会ったら「タジキスタンってさぁ〜」と、1時間くらいタジキスタンについて見てきたことを熱く語ってやろうか?と思ってます。

旅の出費
食費: 1,150スム
マルシュルートカ: 3,500スム
合計: 4,650スム(約420円)

特急シャルクの座席
2007年9月11日(火)
何度目か忘れたタシュケント

 ビザ切れまで、あと2日。

 特急シャルク号(写真)に乗って、サマルカンドから首都タシュケントに戻って来た。
 今日は他の日本人旅行者3人と同じ列車に乗り込んだ。 皆が短期旅行者で、会社の休みに1週間とかで来ている人たちだ。 1人は今夜発のアシアナ航空で日本に帰り、他の2人は明日発のウズベキスタン航空で日本に帰る。
 いいなぁー!! 今夜発つ人なんて、明日の朝には日本だぜ。 すっげー近い、日本・・・

 実は先週、俺のやる気メーターがマイナス20万メティカシュを記録した時、「タシュケントから日本まで飛んじゃおうかな?」と思って航空券の値段を調べた。
 片道で750USドルもしたから止めたけど、300USドル台だったら買ってたね。

 昨日、タジキスタンまで遠出したら若干やる気が出てきて、現在のやる気はプラス5メティカシュくらい。
 一気に移動して中国のカシュガルに行くモードに入ったので、カシュガルに着くまでは0〜5メティカシュの間を維持出来そうだ。

 明日の早朝にはファルガナ盆地に移動して、コーカンドという町に1泊。
 明後日には2度目となるキルギスのオシュに入る。

旅の出費
雑費: 300スム
食費: 500スム
地下鉄: 750スム
タバコ: 1,300スム
市バス代: 200スム
外食代: 13,800スム
生活用品: 2,300スム
宿代(1泊分): 8,000スム
インターネット: 1,100スム
合計: 28,250スム(約2,580円)

特急シャルク号の車内食
2007年9月12日(水)
自分との戦いに完敗

 ビザ切れまで、あと1日。

 さぁ、気合を入れて移動だっ!
 と、昨日は目覚ましを早朝8時にセットして寝た。
 今朝、その目覚ましがちゃんと鳴り出した。

 むむむぅー・・・眠たい・・・
 「もうちょっとだけ寝てもいいですか?」と、自分で自分に相談してもう少しだけ寝ることに。

 再び目覚ましが鳴ったのは、8時半。
 「あとちょっとだけ! 9時には起きるから」と、自分で自分に言い訳をしてもう少しだけ寝ることに。

 午前9時、またまた目覚ましが鳴る。
 『今起きないと、乗合タクシーの相客が見付からなくなって大変だぞ』
 「・・・」
 『今起きないと、昨日の夜に考えた予定がパァーになるぞ』
 「・・・」
 『今起きないと、ビザ切れ当日に慌しく長距離移動する羽目になるぞ』
 「・・・んん・・・それでもいい!」

 という自分と自分との会議の結果、全てを放棄した俺は午前11時に起床。
 そんなわけで、今日もタシュケントに1泊します。

 前回のウズベキスタン出国時と、全く同じ状況になっており、全く同じ行動を取ります。
 明日、1日でファルガナ盆地を抜け、キルギスのオシュに入ります。

旅の出費
外食代: 1,800スム
宿代(1泊分): 8,000スム
インターネット: 1,600スム
合計: 11,400スム(約1,040円)

マクドナルド? in タシュケント
2007年9月13日(木)
二度目のキルギス入り

 ビザ切れ当日。

 今日でウズベキスタンのビザが切れるから、絶対に今日中に出国しなくてはいけない。
 後がないので、眠たかったが嫌々起床。
 9時過ぎには宿をチェックアウトする。

 タシュケントの南の郊外にあるコイルック・ターミナルで、乗合タクシーと値段交渉する。
 前回、6月に同じルートを通った時は、タシュケントからキルギスとの国境の町アンディジャンまで12,000スム(約1,100円)した。 さらにアンディジャンから国境までは、乗り換えて2,000スム(約180円)した。
 8月1日からウズベキスタンの公共料金が値上がったせいで、移動費も当然値上がりしている。
 幾らになっているか?分からなかったが、とりあえず前回12,000スムで乗ったので、12,000スムで交渉。
 すると、なぜかタシュケントからアンディジャンではなく、国境まで12,000スムで行けることになった。
 あれ、こんなもんなの?

 約6時間掛かって、ファルガナ盆地を通り抜け、アンディジャンを通り過ぎ、本当に国境の真ん前で下ろされる。
 ウズベキスタンも無事に出国。
 『キルギス共和国』にも無事に入国。

 さぁ、次は中国のカシュガルに抜けるぞ!

 写真は、遠目にマクドナルドっぽく見えるけど、実は『ZUMDA』というマクドナルドとは全くもって関係ないお店です。
 タシュケントの“自称繁華街”ブロードウェイのど真ん中にお店を構えています。

旅の出費
食費: 500スム
タバコ: 1,500スム
マルシュルートカ: 500スム
乗合タクシー(→国境): 12,000スム
市バス代: 5ソム
外食代: 150ソム
宿代(1泊分): 150ソム
合計: 14,500スム+305ソム(約2,270円)

キルギス・ビール『ナシェ』
2007年9月14日(金)
朝からウォッカ

 今日は早起きして、11時には起床。
 さぁ、朝食でも食おうか?と、レストランに行くとキルギス人のおばさん2人組に捕まった。 何でもバザールで物売りをしているおばさんらしいが、彼女たちが(俺からすれば)朝から、(一般的には)昼間っから飲んでいたのはウォッカ。
 しかも、ショットグラスに注いで俺に差し出すではないか! おいっ、朝からウォッカかよ?!

 もちろん礼儀正しく一気飲みしてやりました。
 たまに、日本人でウォッカをショットグラスで差し出されてチビチビ飲んでる人を見かけるけど、これはロシア圏では無礼に当たります。
 あと、チビチビ飲めば酔わないと思っている人も見かけるけど、実は逆です。
 フッと小さく息を吐いたら、そのままウォッカをノドちんこ目掛けて流し込みましょう。
 チビチビ飲むと、酔いが早く回ります。
 一気飲みしても酔うけどね・・・

 朝起きて、まず最初に口にしたのがウォッカ・・・
 ウォッカを飲んだら急に水分が摂りたくなって、ビールを飲んじゃいました(写真)。 キルギスの不味いビールNo.1の呼び声高い、『ナシェ』。
 「まずっ!」と言いながらも無事に飲み干し、ついでに今日分のやる気も使い果たした俺。 朝には2メティカシュあったやる気も、いきなりマイナス1万メティカシュに下がってしまった。

 が、滞在登録だけはしておかないといけないので、オヴィールという役所に出向いて登録を済ませてきました。
 とにかくやる気がないから、面倒この上なくてイライラしたけど。
 10月13日までキルギスに滞在可能です。

旅の出費
食費: 20ソム
ビール: 55ソム
外食代: 150ソム
滞在登録料: 105ソム
マルシュルートカ: 5ソム
合計: 335ソム(約1,040円)

カシュガル行き国際バスが発着するオシュ・バスターミナルNo.2
2007年9月15日(土)
新事実

 朝、用事があってビシュケクに電話した時に新事実を知ってしまった。
 キルギスに入った日本人旅行者は、入国後3日以内にオヴィール(内務省ビザ・登録課)で滞在登録をしなければならなかったのだが、それが必要なくなったそうです!!
 おいっ! 昨日登録をした俺は何だったんだ?!

 8月にビシュケクで行なわれた上海協力機構の加盟国首脳会談の直前あたりから、滞在登録に関係したトラブルが続出した。
 日本人は滞在登録をする義務があるのに、オヴィールに出向くと滞在登録を拒否られるという意味不明なトラブルで、その状態で街中を歩いていて運悪く警察に職務質問されると、さらにトラブる悪循環。
 このトラブルは日本大使館まで巻き込み、普通は旅行者のトラブルには見て見ぬ振りの大使館も、ついに重い腰を上げた。

 8月9日付で、オヴィールの親玉である内務省に書簡(MK-017号)を送って問題を指摘。
 それに対して、キルギス内務省から8月21日付で返答書簡(1/3212号)が日本大使館に届いた。
 その内容は、
 『キルギス共和国移民法第8条第2項により、ビザ無し滞在が認められている日本国籍を含む外国人は、滞在が60日を超えない限りは、オヴィールでのパスポートの登録は免除される』
 というもの。

 まぁ、内務省の見解としては上記の通り“滞在登録不要”になったのだろうけど、問題は末端の警察まで情報が浸透しているのかどうか?だろうな。
 キルギスの末端警察官なんて、カス中のカスだからねぇー。 あの悪徳警官で名高い旧ソ連圏の国々の中でもベスト3には余裕で入れると思う。 就職すら出来ないような奴が警察になるから、頭は相当悪いし。
 まぁ、早い段階で既定事実を浸透させて、バカ警察官に絡まれなくするためにも、今後は滞在登録をしないのが一番でしょう。 警察に絡まれるのが心配な人は、日本大使館に行って1/3212号書簡のコピーを取らせてもらって携帯するのもありかも。

 さて、中国・カシュガル行きの国際バスの運行予定を調べにバスターミナルNo.2に行ってきました。
 事前に仕入れた情報によると、オシュからカシュガルへは毎週日・月・水・木曜の4便あるとのことだったが、何曜日が中国製バスで、何曜日がロシア製なのか分からなかった。
 中国製は寝台バスで、ロシア製は化石みたいな『イカルス』というバスで、しかも値段は一緒の55USドル。 値段が違うのであれば納得できるが、同じ値段なのであれば楽な方が良いに決まってる。 中国製バスが運行している日にカシュガルに行こうと決めていた。
 そして、バスターミナルで確認してみると・・・明日の夜に中国製バスがカシュガルに行くとのこと。

 結局、チケットを買ってしまいました。
 明日の夜にはオシュを発って、明後日には中国に入ります。
 早っ!!

 写真は、そんな中国との国際バスが発着するバスターミナル。 見た目は立派で大きいが、発着するバスが中国便のみのため閑散としており、日に日に荒廃していっている素敵なバスターミナル。
 以前はウズベキスタンへの国際バスも発着する『国際バスターミナル』だったようだが、数年前にウズベキスタンが国外からのバス乗り入れを禁止したため、中国に行く人以外は誰も使わなくなってしまった。

旅の出費
食費: 30ソム
タバコ: 25ソム
電話代: 90ソム
外食代: 159ソム
生活用品: 5ソム
宿代(2泊分): 300ソム
インターネット: 190ソム
マルシュルートカ: 10ソム
国際バス(→カシュガル): 55USドル+100ソム
合計: 55USD+909ソム(約9,190円)

フレーム
2007年9月16日(日)
いよいよ最終ステージへ

 日本にいる時に世界地図を頭に描いてみると、中国までは何とかイメージ出来た。
 それが西域になると、敦煌などの有名所は知っていても、実際に行っていないとイメージもぼんやりしたものになってくる。
 それが、中国のさらに西に行って中央アジアになると、全くイメージが湧かなかった。

 実は、西から東に向かっていても似たような心境に陥る。 中央アジアに入って4ヶ月が過ぎたが、さらに東に移動して中国に入るのに障害がある。
 何だろう?と考えたら、それは天山山脈だった。 東西に約2,500kmにわたって連なり、標高は4,000〜6,000m。 最高峰はポベーダ峰で7,439mある。
 この天山山脈が文字通り中国との間に高い障害となって立ちはだかり、それが心理的にも壁になっていた。

 中国と国境を接している中央アジアの国は3カ国ある。 北からカザフスタン、キルギス、タジキスタンの順だ。 厳密に言えば、アフガニスタンも中国と短い国境線で接しているが、今回は考えない。
 この内、一番簡単な国境越えが出来るのがカザフスタンで、中国のウルムチとカザフスタンのアルマティを結ぶ国際列車に乗るのが一番楽チン。 同じルートに国際バスも走っているが、カザフスタン側の道路状態が悪く、ジャンプしながら乗車することになる。
 キルギスと中国の間に国境は2ヶ所。 1ヶ所は中国側が未解放地区になっており、旅行会社で交通手段を手配しないと通れない。 もう1ヶ所が旅行者に一番メジャーな国境で俺も通るルートだが、キルギス・オシュから中国・カシュガルまでたったの460kmの距離しかないのに、国際バスで24時間かかる。 キルギス側の道路状態もかなり悪いらしい。
 タジキスタンと中国の間に国境は1ヶ所。 パミール高原の中にあり、国境地点の標高が4,762mある上に、タジク人と中国人以外は通れない。 もちろん道路状態は他のルートと比べても最悪だろう。
 つまり、天山山脈が中国と中央アジアの間にそびえていて、行き来を邪魔しているのだ。

 今回、いよいよ天山山脈を越えて東アジアに入るのだが、俺にとっては今回の旅行の最後の山場のような感じがする。
 実際には中国内の辺鄙な所に行けば、そっちの移動の方が大変なのだろうが、心理的には今回の方がロシア圏から多少は馴染みのある中華圏へ移動して旅の最終ステージに入るという点でも、「嗚呼、天山山脈を越えればいよいよ旅も佳境に入るなぁ」と思ってしまう。
 正直、今回の旅の中で“中国に入る”ということが一番緊張するのは何でだろう?

 いよいよ、明日には写真のバスに乗って中国に入ります。

旅の出費
トイレ: 2ソム
食費: 38ソム
タバコ: 20ソム
外食代: 110ソム
マルシュルートカ: 5ソム
合計: 175ソム(約540円)





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