ぐわぁぁ〜、今日は晴れてしまった・・・
眠くて仕方がなかったが、「晴れたら観光しよう」とずーっと思っていたので、意地で外出。
本日は、自分の中でグルジア観光の目玉となる『ゴリ』という町に行って来た。
首都トビリシからバスで片道2時間ほど掛かる場所にあるゴリ。 町の名前は沖縄出身のお笑い芸人と同じで楽しそうだが、そこに何があるのか?と言えば・・・世界で唯一残っているスターリン像があるのだ!!
俺は、ここで「おぉー、すげー!」とか言う反応を期待するのだが、皆さんにこの話をしても大抵は「へー」の一言で終わってしまう。 結局、1人で興奮している俺だけが浮いて、「もしかして『赤旗』読者ですか?」みたいな冷めた目で見られてしまうのだ。
悲しいね・・・感動を共有出来ないって。
ここで重要なのは、スターリンとか言うおっちゃんの像がどうこうの話ではなく、『限定販売』とか『世界初』とか『最新モデル』とかの言葉に理性を失ってしまうのと一緒で、『世界で唯一』という殺し文句にコロッときてしまう馬鹿さ加減である。
俺なんて、そのためだけにグルジアに来たと言っても過言ではないほど興奮していたのに。
で、スターリンって誰?
レーニンが死んだ後にソ連共産党の書記長だったおっさんです。 ライバルたちを暗殺したり、死刑にしたりして独裁者にのし上がったスターリンは、その次にKGBと強制収容所による恐怖政治で『大粛清』を開始。 このスターリンによる大粛清で、何百万人もの人たちが行方不明になったのだ。
ヒトラーもびっくりの怖いおっさんですねぇ。
で、スターリンが死んだ3年後になって、フルシチョフさんって偉い人がソ連共産党大会で「スターリンは偉くない。 ただの怖いおっさんでした」と『スターリン批判』を行なった結果、各地のスターリン像は撤去されてしまったわけ。
なのにっ! ゴリにだけは残ってます。
なぜなら、スターリンはゴリ出身だから!
1879年、彼はゴリで貧乏な靴屋の息子として生まれたのでした。
だから地元では未だにヒーローってわけ。
そんな独裁者を生んだゴリには、スターリン像の他に、スターリンの生家、スターリン博物館などスターリン・マニアには涎もののアトラクションがいっぱい。
そもそもスターリンの生家なんて取り壊されて無くなっていたのに、当時はまだ存命していたスターリンのお母さんの記憶をもとに再現されたという、胡散臭さ満点スポットだ! しかも、聖地化しようと思ったのか?そのボロボロ木造家屋は、コンクリート製の神殿風な建物に覆われていて、貧乏なんだか立派なんだか分からない微妙なオーラを放っている。
さらにはスターリンを英雄として祀る博物館。
去年までは1ラリ(約70円)だった入場料が、いきなり今年に入ってからヤクザもビックリの15ラリ(約1,020円)に、15倍値上げ! 意味わかんねー。
まぁ、でもせっかくゴリまで来たし・・・宿代より高いけど入ってみた。
・・・・・・・・・・
やべー、ここ! 1ラリ分の価値しかねーよ!
展示内容: スターリンが吸っていた葉巻、スターリンが使っていたペン、スターリンが使っていたコップ、若い頃のスターリンが作った詩、スターリンが友達宛てに送った手紙、中国の人民解放軍戦車部隊から送られた『同志』とだけ書かれた赤い旗、スターリンの死に顔を描いた絵などなど・・・
「だから何だよっ!」としか言えない品の数々に、俺はチビリそうになり、15ラリも払ったのを忘れ5分で出てきてしまった。 ある意味、粛清である。
さすがスターリン、死んでも恐ろしい男である。
今日はゴリで仲良くなったグルジア人の若者3人組に、ゴリでもベストな部類に入るというレストランでご飯を奢ってもらった。
色々と親切にしてもらったので、「何才?」って聞いたら「17才」だって・・・
おいおい、今年29才になろうとしているおっさんがですよ、見た目は眉毛も繋がってるし『年上なんじゃねーか?』と密かに思っていたけど実は高校生と同じ年齢のガキ連中に奢ってもらった・・・ しかも俺はビールを飲んだのに、彼らは桃ジュース・・・
いいんですか、こんなんで?
レストランでグルジア料理を食った後に、一番おっさんである俺がお金を払おうとしたらですよ、彼らが何と言ったと思う?
「ゲストに払わせるわけにはいかない」
くはーっ! 17才が吐ける言葉ですか?!
凄いを通り越して、気持ち悪い!
ガイドブックから引用: 『グルジアは外国人への暴力犯罪が多い一方、客人の歓待ぶりも凄まじい。 良くも悪くも極端である』
夜中に町中でトカレフをぶっ放してる奴もいれば、17才にして外国人を歓待する奴もいるわけでしょ?
極端とかじゃなく、普通がいい・・・
旅の出費;
食費: 3.6ラリ
入場料: 15ラリ
外食代: 1.5ラリ
地下鉄: 0.4ラリ
バス代(トビリシ⇔ゴリ): 7ラリ
合計: 27.5ラリ(約1,870円)
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