ゆずランドへようこそ

中東旅行日記


この日記は1週1ページで、最終更新日が一番下になります


現在地はどこなの?

<<前のページ | 次のページ>>
ムカッラ→サユーン間の景色
2006年5月22日(月)
暑さにヘロヘロ

 暑〜い!! ジッとしているだけで汗が吹き出てくる。 暑いもんだから、ジュースの消費量が異様に増えてお腹タポタポ。 おかげで、ケープタウンを出て以来初めてお腹の調子があまり良くない。 でも冷たい飲み物は止められない。 シャーベット状になっている“シャッカル”というミックスフルーツジュースに病みつきだ。

 いよいよ今日でソコトラ島ともおさらば。
 ソコトラ発、ムカッラ経由、アデン行きの飛行機に乗り込む。 ソコトラから乗ると座席番号がもらえない。 だからなのか?扉が開くと同時に我先にと殺到する人たち・・・ 一応チェックインはしてるわけだから、座席数以上の乗客は乗せないでしょー!? まさか、早く座席を確保しないと立たないといかないとか?

 今日も無事に(?)アーミーナイフを機内に持ち込めた。
 さらに、一緒にソコトラ島に来た7人の内、俺と彼女の2人はムカッラで降り、他の5人はアデンまで行くチケットを持っているのだが、アデン行き組の内3人が「やっぱりムカッラで降りる」と予定を急遽変更。 全く問題なく降りれた。 逆に、ムカッラ行きまでのチケットしか持っていない俺が、「やっぱりアデンまで行きたい」とそのまま飛行機に乗っていても絶対に大丈夫。 だってチケットの確認なんて無いもん。

 飛行機がムカッラ(Mukalla)に降りる際にやけに急ブレーキだったのと、滑走路の脇の方に中破して転がっているボーイング737があったのが若干気になったが、無事にムカッラに降り立った。
 ムカッラも暑〜い!!
 今日はムカッラが最終目的地ではない。 砂漠を北上してサユーン(Seiyun)に向かう。
 ムカッラでは、サユーンまでの乗合タクシーに“ツーリストプライス”だと言われて1人1,500YR請求されたり(現地人は1,000YR)、乞食にお金を貰ったり(「金くれ」と言ったらくれた)、色々あった。 結局、渋々1人1,500YR払い、乞食から貰ったお金は返さなかった。 なぜか?皆からは「鬼、悪魔」呼ばわり。

 ムカッラからサユーンまでの道は非常に景色が良い(写真)。 渓谷の谷底を走っているかのような風景をバックに、土色のレンガ造りの集落が妙にマッチしている。 道路もキレイだし、自分でドライブしたい道だ。

 約5時間でサユーンに到着。
 ソコトラ島での鬱憤を晴らすべく、エアコン付きの宿にチェックイン!! でも、エアコン、TV、冷蔵庫が付いてツインで10USドルって安い。

 着いていきなりだが、サユーンから首都サナアに行くバスのチケットを購入した。
 イエメンの国内旅行は、縦(北⇔南)の移動は楽だが、横(東⇔西)の移動は大変だ。 西側で言えば、経済都市アデン(南)⇔首都サナア(北)のルートは問題なく、東側で言えば、港町ムカッラ(南)⇔サユーン(北)は問題ないが、アデンからムカッラまでとか、サナアからサユーンまでとか横への移動は苦労する。 飛行機なら問題ない。
 外国人を標的にした誘拐事件や襲撃があるという理由で、外国人には警察が発行する旅行許可証が必要なのと、バス会社が外国人へのチケット販売を渋ることと、検問で許可証を持っていても追い返される可能性があるため、横(東⇔西)移動は運次第と聞いていた。
 まず1軒目のバス会社では3,500YRと、通常料金の2倍ほどの値段を言って来た。 2軒目のバス会社では、外国人お断り。 3軒目にバス会社最大手『YEMITCO』に行ってみた。 ここでチケットを買うのは難しいと聞いていたので、恐る恐るサナア行きチケットを聞いてみた。
 すると、すっげー愛想の良いおっさんが「OK!」と言って、簡単に買えてしまった。 しかも、1人1,500YR(約880円)と普通の値段。
 いやー、運次第って言うけど、やっぱり俺の人の良さが効いてるね、こりゃ。

旅の出費(2人分)
タバコ: 130イエメン・リアル
外食代: 670イエメン・リアル
ジュース代: 510イエメン・リアル
タクシー代: 3,830イエメン・リアル
宿代(4.5泊分): 9,000イエメン・リアル
バス代(サユーン→サナア): 3,000イエメン・リアル
合計: 17,140イエメン・リアル(約10,030円)

砂漠の摩天楼シバーム
2006年5月23日(火)
砂漠の摩天楼

 イエメン観光のハイライトの一つに、シバーム(Shibam)がある。 首都サナアの近くにも同じ名前の街があるが、こちらのシバームは東の砂漠にある。
 見所は、1982年にユネスコの世界遺産に指定された旧市街(写真)。 通称“砂漠の摩天楼”とか“砂漠のマンハッタン”などと呼ばれている。
 日本が平安時代で『枕草子』だった頃の1,100年以上前に、砂漠のど真ん中に高さ30m、5〜8階建ての石とレンガ造りのビル群が建てられた。

 宿を取っているサユーンから約20km離れた、このシバームに行ってみた。
 “砂漠の摩天楼”なんて聞いていたから、結構期待してました。 でもね、実際に行って見ると、まぁ〜“砂漠の促進住宅”って感じ。
 多分、本当に何もない、見渡す限りの砂漠のど真ん中に忽然とシバームの旧市街が現れたりしたら、ちびったかも知れないけど、新市街が周りを囲んでいていたり、主要幹線道路がすぐ目の前を通っていたり、普通に“現在”に溶け込んでいて凄さ半減。

 でも、やっぱりよく考えたら凄いよな。
 日本で眉毛に黒い点々付けて「まろは彦麻呂じゃ」とか言っていた時代にだよ、砂漠に500棟ほどあるビル群を建造していたんだから。 総合大百科ソフトのエンカルタ(旅先で貰っちゃった)で調べたら、この時代はイスラム文化の黄金時代だったらしい。 同じ頃、東南アジアではアンコール王朝が全盛期で、アンコール・ワットを建造していたし、ヨーロッパでは神聖ローマ帝国が興っていたし、世界は色んな文明が花開いていた模様。

 しっかし、シバームも死ぬほど暑い!! 熱射病になりそうで、フラフラだ。 早く高地にあるサナアに戻りたーい。
 夕方7時、バスに乗り込んでサナアに向かう。
 バスはメルセデス・ベンツの新車らしく、運ちゃんはバスを指差してしきりに「2006、2006」と言ってくる。 確かにこれだけキレイなバスだったら自慢もしたくなるよな。
 バスにトイレが付いているし、エアコンまである! これは南アフリカ以来の凄い出来事。 アフリカのバスにはエアコン付いてないから。 “エアコン・バス”を売りにしているバスもたまにあるけど、大抵壊れていて“ノンエアコン・バス”だし。
 車内はガラガラで、1人1列を使って横になることが出来た。

旅の出費(2人分)
コピー代: 30イエメン・リアル
タクシー代: 400イエメン・リアル
外食代: 390イエメン・リアル
ジュース代: 290イエメン・リアル
合計: 1,110イエメン・リアル(約650円)

シバームの子供たち
2006年5月24日(水)
気候最高

 寝ていて気が付かなかったが、夜中に2度ほど検問で警察と運ちゃんの間で一悶着あったらしい。 一度はバスのエンジンを切ってやり合っていた模様。
 それでも一応無事にサナアに午前4時に到着した。 予定通りの到着。

 サナアは寒〜い!! 気温が海岸部・砂漠とは全然違う。 なんていい気候なんだ、サナアは。
 ホテルにチャックインして直ぐ昼寝。 ソコトラ島では暑さで夜中に目が覚めていたので、サナアで布団を被って寝られる気温の調度良さに爆睡してしまった。

 最近、随分と忙しい日々を過ごしていたので、今日は久しぶりにまったりデー。
 インターネットでワールドカップの日程を調べた。 「ワールドカップ、ワールドカップ」と言っていた割に、日程を知ったのは今日が初めて。
 6月9日から始まるらしいな・・・ 絶対に間に合わん。 決勝戦くらいにはギリシャに着けるかな?
 しっかし、対戦カードを見たけどあんまり興味をそそられない。 やっぱり、ワールドカップよりユーロカップの方が面白いな。
 そんな中で面白そうな対戦カードは、6月21日のオランダ対アルゼンチンと、22日のチェコ対イタリアかな?

 写真は、シバームの旧市街で遊んでいた子供たち。

旅の出費(2人分)
外食代: 330イエメン・リアル
ジュース代: 100イエメン・リアル
インターネット: 420イエメン・リアル
合計: 850イエメン・リアル(約500円)

竜血樹の森
2006年5月25日(木)
サダム・フセイン

 サダム・フセイン時代に発行されたイラクのお札を買った。 お札の絵がサダム・フセイン。 25ディナール札が1枚100YR(約60円)で買える。
 あと、イエメンがまだ南北に分断されていた頃の、イエメン人民民主共和国(南イエメン)時代のお札も買っちゃった。 無駄にデカイお札で、お財布に入らないところが素敵。

 夜、ソコトラ島に一緒に行った7人で中華レストラン。
 何が嬉しいって、ここではビールが飲めるのだ!! ただ1本800YR(約470円)もする。 まぁ、イスラム教国でビールが飲めるだけ、ありがたや。
 7人の内、4人は明日イエメンを出て行く。 日本に帰る人や、エジプトのカイロに飛ぶ人、ヨルダンのアンマンに飛ぶ人、それぞれの旅先に移動だ。
 俺らは、イエメンからオマーン、アラブ首長国連邦と陸路で回って、ドバイからエジプトのカイロに飛ぶことに決めた。

 写真は、『竜血樹』の森。 地面にいっぱい生えている木はボトルツリー。 ボトルツリーのツルツルの幹が何ともセクシー。

旅の出費(2人分)
お札: 1,000イエメン・リアル
外食代: 4,710イエメン・リアル
ダッバーブ: 40イエメン・リアル
インターネット: 270イエメン・リアル
合計: 6,020イエメン・リアル(約3,520円)

ワディ・ダハールのロック・パレス
2006年5月26日(金)
岩の上の王宮

 ダッバーブ(乗合バス)を借り切って、サナア郊外にあるワディ・ダハール(Wadi Dahar)に行った。
 ここの見所はロック・パレス(写真)。

 岩の上に建っているのは、昔イエメンを支配していたスルタン(王様)の別荘。
 既に行ったことのある人の写真を見せてもらって、是非行きたい!と思っていたのだが、実際に来てみると『へー』って感じ。
 写真は、ワディ・ダハールを見下ろす岩山の上から撮ったのだが、ここからの景色は中々雄大だ。 雄大だけども、5分もいたら飽きてくる。

 ロック・パレス内に入ると、“ジャンビーラ・ダンス”をやっていた。
 “ジャンビーラ・ダンス”とは何なのか? 地球の歩き方の説明によると、『このダンスはJ字型の短剣(ジャンビーラ)を振りかざして踊る勇壮かつ華麗なもの』らしい。
 『ジャンビーラを振りかざして踊る』というのはその通りだ。 そもそも、“ジャンビーラ・ダンス”って呼ばれている時点で、ジャンビーラを使って踊ること位、馬鹿でも分かるけどな。
 その後の『勇壮かつ華麗なもの』というのは疑問。 まぁ、イエメン風盆踊り。 たまたまウチワの代わりに短剣を持ってるだけの違い。 皆で輪になって、太鼓のリズムに合わせて、ジャンビーラを頭上に掲げながらクルクル回ってるの。
 “ジャンビーラ・ダンス”も見たいと思ってたけど、拍子抜け。

 帰りはヒッチハイクで、トラックの荷台に乗って帰ってきた。

旅の出費(2人分)
外食代: 870イエメン・リアル
ジュース代: 140イエメン・リアル
ダッバーブ: 910イエメン・リアル
ロック・パレス入場料: 1,000イエメン・リアル
合計: 2,920イエメン・リアル(約1,710円)

ボトルツリー (C)えべさん
2006年5月27日(土)
手を繋ぎませんか?

 ヒゲ面のおっさんが2人、お手手を繋いで歩いている。
 ライフルを肩から提げた兵隊さん同士が、「らんらんら〜ん」と仲良く手と手を取り合って歩いている姿を見掛けると、可憐なお花を見付けた時のように心温まる。
 心温まらねーよ!! ・・・キモい。

 どうやら、皆さんはアチラの方たちではなく、普通にお友達として手を繋いでいるようだ。 成長しておっさんになってもだ。 まぁ、日本で親しくなった取引先の人を接待する時に、いきなり手を繋いだりしたら注文書をキャンセルされるだろうけどな。 それか・・・新しい目くるめく世界が待ってるかのどっちか。
 イエメンで、ヒゲ面でターバンを巻いたおっさんが手を繋いで歩いている事に驚いたが、よく考えたらアフリカでもあった。 ちょっと親しくなると、手を繋いで歩くのだ。 こちらが心の準備が出来ていない状態でいきなり手を握られると、ビクッとする。 それがまた、少年のようなウブ感を醸し出してしまって「俺ってカワイイ」。

 オマーン大使館に行って、ビザを取得。
 即日発行でビザを手にしたはいいが、あまりオマーンに行きたくない。 というか、サナアを出たくない。
 なぜか?というと、オマーンは無茶苦茶暑いらしいです。 日没時点での気温が40度だって・・・ すんげー暑くて、外に出る気にすらならないんだって・・・
 だって、世界の天気予報とかでアラビア半島の気温とか見たらビビるよ!? 45度とか、有り得ない数字だもん。
 限界まで耐えられる気温は何度なのか?調べるために、温度計を買うことにした。

 写真は、俺のお気に入り『ボトルツリー』。

旅の出費(2人分)
外食代: 640イエメン・リアル
生活用品: 150イエメン・リアル
ジュース代: 250イエメン・リアル
ダッバーブ代: 80イエメン・リアル
インターネット: 330イエメン・リアル
オマーン・ビザ代: 42USドル
合計: 1,450YR+42USD(約5,680円)

フレーム
2006年5月28日(日)
世界で「うざい!」と叫ぶ

 イエメンに来てほぼ3週間が過ぎ、俺の反アフリカ感情も薄まってきた今日この頃。
 イエメンに来て直ぐは、アフリカと比較して『なんて天国なんだ、ここは!?』って感じで、「イエメン人うざい」とか「イエメンの食事って単調」などと暴言を吐く旅行者を『贅沢野郎』だと思っていた。
 イエメン人がうざいだぁ〜? アフリカなんて、1日中「You! You! You! Fuck you!」とか、「China!」攻撃だぜ!
 食事が単調だぁ〜? エチオピアの主食はインジェラ(ゲロ風味)だぜ! ウガンダの主食はバナナだぜ! そりゃ人間もゴリラ似になるわ。

 しかーし、最近はと言うと『イエメン人って、ちょっとうざいかも』とか『イエメンの飯って、単調かも』と思い始めている。
 人間って贅沢な生き物だぁー。
 底辺を知り、底辺を体験したから、もう俺の残りの人生は何事にもイライラせず、猿のような奴ら相手にも微笑み返すごとく、生き仏のように穏やかに過ごせると思っていたが、無理! うざいもんは、うざい!

 イエメン人は基本的にフレンドリーでよろしい。
 まぁー、人間それぞれ性格が違うのに、“イエメン人”とか“アフリカ人”と一括りにしてしまうのも乱暴な話だが、環境やら文化の影響か?同じ人種の人間は似たような行動を取るもんだ。
 じゃぁー、イエメン人はフレンドリーなのに、なんでうざいんだ?という話になるが、説明が難しい。 まぁ、簡単に言えば『俺のことはほっといてくれ』って感じ。 所詮、田舎者の共通点なのだろうが、外国人を見ると興味を持ち、“とりあえず”ちょっかいを出してくる傾向が強い。

 意味のないちょっかいを出してくる輩も、アフリカとは若干質が違う。
 アフリカの場合、明らかに頭空っぽ。 何も考えてない。 救いようのない馬鹿と喧嘩をしても、あまりの次元の低さに時間が勿体無いと感じるほどだが、頑張って良い言い方をすれば、頭が空っぽの分意外と素直だったりする。 それが、アフリカ人の憎み切れない部分だ(これも悲しい話だけどね)。
 イエメンの場合(アラブ全体に共通しているらしいが)、自分のやっていることを若干理解している分があり、アフリカ人より性質が悪いと言えば悪い。 ただ、アフリカ人よりも“弾け切れていない”。 余談だが、アラブ世界で“弾けた”うざさで名高いのはモロッコ。 これも「だって、アフリカ大陸にあるじゃん」の一言で全て納得。

 ちなみにスーツを着た(きちんとした格好の)人間に、うざい人はいない、という物凄い法則を発見した。

旅の出費(2人分)
食費: 500イエメン・リアル
外食代: 1,200イエメン・リアル
ジュース代: 100イエメン・リアル
ダッバーブ代: 220イエメン・リアル
合計: 2,020イエメン・リアル(約1,180円)





  Copyright © 2004- Yuzurand All Rights Reserved