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4WDで行く南部アフリカ旅日記


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2005年7月31日(日)
クロコダイル・トレイル

 朝8時にクロコダイル・トレイルに出発する。 7時40分まで寝ていた俺は、寝起きから歩かされてテンションは低い。
 クネネ川沿いを上流に向かって歩く。 ヒンバ族のお兄ちゃんをガイドに植物や動物を見ながら進む。
 まず、サボテンの1種があちこちに生えていたのだが、それの説明をしてくれた。 そのサボテンに傷を付けると、ミルク色をした汁が出てくるのだが、これが猛毒らしい。
 ブッシュマンは、矢にこの汁を付けて狩りをするそうだ。 動物でも、このサボテンを食べるのは象くらいだと言っていた。
 続いて見たのは、尾長ザルが群れでいた。 正確な名前までは分からなかった。 このサルは、サソリを食べるそうだ。 つまり、サソリがいるということだな・・・
 その次はヘビ。 俺的には、そんな小さなヘビなんてどうでも良かったが、イギリス人やイタリア人などはパシャパシャ写真を撮っていた。 ヘビ、珍しいか?
 ワニも3匹見かけた。 一番大きなワニで3mほどだ。 ただ、どのワニも対岸のアンゴラ側におり、双眼鏡がないと見えない・・・ イギリス人もイタリア人も持っていて悔しい思いをした俺は、ウィンドフックで双眼鏡を買おうと心に決めた。
 ちなみにカメラも300mm以上の望遠レンズは欲しい。

 朝8時に出て、帰ってきたのはちょうど正午。 4時間も歩いてヘロヘロだ。

 クネネ川の真ん中には小さな島があり、そこに境界線があって、それぞれの側にはアンゴラの警察と、ナミビアの警察がいるそうだ。
 実際に国境を行き来しているのは、ヒンバ族とヘレロ族だが、ヒンバ族はパスポートを持っていないので、国境に関係なく行き来していると言っていた。
 俺もアンゴラに行ってみようかと思って聞いてみたが、ナミビアの出国は問題ないとしても、アンゴラ側には入れないと言われた。
 入れたとしても、ある程度の賄賂が必要なようだ。
 入ったところで景色は一緒だし、アンゴラはポルトガル語だから話しが通じない。 今回は止めておこう。

 午後、クロコダイル・トレイルで一緒だったイタリア人夫婦と3人で、ガイドに連れられてヒンバ族の集落に行く。
 1台で行こうという話しになり、彼らがレンタルしている日産の『X-Trail』に乗ったが、俺の車より全然良い! 新車だし・・・ あんな車で旅行できたら快適だよなぁー。
 今日行った集落には、女性が10人ほどに、子供が10人以上いた。 やはり男たちは牛やヤギの放牧に出掛けていた。 ガイドが交渉して、白砂糖を手土産に集落に入る。 現金は一切いらなかった。

 まず酋長の奥さんを2人紹介される。 ヒンバ族も一夫多妻制で、金を持っていれば何人でも妻を持つことが出来るそうだ。
 お金を持っている=牛を何匹持っているか?になる。
 ちなみに、ガイドが知っている中で一番の金持ちは、牛を500頭も持っているらしい。 貧乏な男は15頭くらい。 こんなところにもしっかりと貧富の差があるんだね。
 俺も全財産をつぎ込んで牛1,000頭くらい買ったら、王になれるかも。 でもなぁ、放牧に毎日歩かないといけないというのが嫌だ。

 オプウォで見掛けた、子供にも“オカ”を塗ったりするのは、どうやら観光客向けのデモンストレーションではないらしい。 集落によって(祈祷師によって)、何を信じるかによるそうだ。
 但し、男子には絶対“オカ”は塗らないとも言っていた。 また、割礼後の男の子の髪型も、プロス周辺で見たヒンバ族のそれとは違っていた。 同じヒンバ族の中でも、細かいところでは集落ごとに違うらしい。

 写真は、ヒンバ族の女性の髪。 泥で固めて編んでいる。 ちなみに彼女たちに触られると、泥が着く。 俺のカメラが・・・

今日の走行距離; 0km
今日の出費(2人分)
ガイド料: 90.00ナミビアドル
合計: 90.00ナミビアドル(約1,485円)

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2005年7月30日(土)
Epupa Falls

 体力、バッテリーとも充電完了! ガソリンスタンドで予備タンクに燃料を補充した後、オプウォの町を出る。

 D3700号線を北上し、アンゴラとの国境にあるエプパ・フォールズ(Epupa Falls)を目指す。
 途中、エペンベ(Epembe)という集落を過ぎた辺りから、ヒッチハイカーが多くなった。 ヒッチハイカーと言っても、旅行者ではない。 ヒンバ族や、ヘレロ族だ。 俺の車には、これ以上は人が乗るスペースがないが、例えあったとしてもヒンバ族を乗せるかどうかは迷う。
 “オカ”を塗って赤茶色になっている彼らに座られたら、座席が赤茶色になってしまう。
 オプウォで、スーパーからの帰り道らしきヒンバ族を見たが、スーパーのビニール袋が彼らの足にぶつかって、赤茶色になっていたくらいだからな。

 エプパ・フォールズまでの道は、思っていたほどひどくははなかった。 ただ、オコンワティ(Okongwati)を過ぎてしばらく経って、あまりの振動に車の燃料メーターが壊れた。 満タンだったはずなのに、いきなりエンプティー。 ガソリン・タンクに穴が開いたのかと思って、車を止めたほどだ。

 オプウォから約180kmでエプパ・フォールズに到着。
 ここには4軒キャンプサイトがあるが、2軒は潰れているようだった。 結局、『Omarunga Campsite』にテントを張ることにする。 テントを張って、荷物を出していると、フライパンが歪んでいた。 今日の振動で歪んだみたいだ。
 それでも言うが、今日の道はまだいい方だ。

 『Omarunga Campsite』はクネネ川沿いにある。 でも、水浴びは禁止だ。 なぜからワニがいるから。
 今まで見てきたナミビアの川は、乾期のためどれも水が全く無いか、水量が少なかったが、このクネネ川は豊富な水量で流れている。 川沿いに少し下流に行ってみると、直ぐに滝があった(写真)。 落差37mの、なかなか迫力のある滝だ。 近くでは、現地の人たちが洗濯や水浴びをしている。

 山に向かって道があったので歩いてみる。 小高い場所から改めて見ると、エプパ・フォールズのスゴさが分かる。 幅1.5kmにわたって何本もの滝から水が轟々と流れ落ちている。
 クネネ川がアンゴラとナミビアの国境になっており、対岸はアンゴラだ。 クネネ川から北のアンゴラ領はロナ国立公園(Parque Nacional do lona)になっている。

 明日、現地のガイドに連れられてクネネ川を歩く“クロコダイル・トレイル”に参加することにした。

今日の走行距離; 193.1km
今日の出費(2人分)
ディーゼル代: 40.00ナミビアドル
食費: 22.45ナミビアドル
合計: 62.45ナミビアドル(約1,030円)

Copyright (C) Iain
2005年7月29日(金)
スーパーで裸族

 市内のスーパーマーケットへ行って、明日からの旅行用の食料を買い込む。
 自分達の食料の他に、途中で立ち寄るかもしれないヒンバ族の村へ入る時の手土産として、白砂糖2kgを2袋、子供用に飴を1袋購入する。
 白砂糖2kgは1袋10ナミビアドル(約165円)ほどだ。
 ヒンバ族としては、わざわざ町に出て買い物をする大変さを考えれば、お金よりも砂糖や水、タバコ、ビールやチーズを貰った方が実用的というわけだ。

 近代的なスーパーだが、買い物客はすごい。
 レジに並んでいるのが、オッパイを出しているヒンバ族の4人組だったり、頭に何を入れてるか知らんが、変わった帽子をかぶったヘレロ族だったり、白人だったり、アジア人だったり(俺ら)と、国際色(?)豊か。
 中には、やはりヒンバ族のように裸族で、オッパイ丸出しで腰ミノだけなのだが、ヒンバ族のように体に赤茶色の粉を塗ってはおらず、髪も真っ黒で、頭に独特なアクセサリーを着けている女性がいた。 あれはどこの部族なのだろう?

 宿に戻って、お兄ちゃんに聞いてみると、「ゼンバ族だ」と教えてくれた。どのガイドブックにも載っていないぞ、ゼンバ族。

 スーパーマーケットは少数民族をまとめて見るには、最適の場所だ。 ヒンバ族、ゼンバ族、ヘレロ族、ダマラ族、カバンゴ族、オワムボ族、ナマ族、バスター族、ツワナ族、サン族まとみて見れるかも知れん。
 ま、カオコランドにサン族(ブッシュマン)は住んでいないだろうけど。
 あと、民族衣装(裸含む)を日常的に着ているのは、見た感じではヒンバ族とヘレロ族くらいだから、他の人たちが何族かは見ても分からない。

 2日間休んでだいぶ体力が戻ったので、明日からはカオコランドの北部を行き、アンゴラとの国境沿いを周る。
 川の対岸がアンゴラという国境地帯には、“ナミビアのリビエラ”と言われるエプパ滝(Epupa Falls)など自然の見所も多いという。

 オプウォを出てからは、ガソリンスタンドがないので、予備タンクに燃料を補充しておかないといけない。

 写真の左2人の女性はヒンバ族、右のカブトムシみたいなのはヘレロ族。 この写真は、イアンから貰った。

今日の走行距離; 8km
今日の出費(2人分)
食料費: 188.20ナミビアドル
合計: 188.20ナミビアドル(約3,100円)

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2005年7月28日(木)
割礼

 聞くところによると、実はオプウォにいるヒンバ族は観光客目当てというわけではないらしい。
 彼らは遠方からオプウォに買出しに来ているそうで、ついでに写真撮られたらお金を貰おうと思っているだけなのだそうだ。 確かに、赤茶色のオッパイ丸出しの女の子がスーパーの買い物袋を提げて、スーパーから出てくる。

 それなりに観光客ズレしている感のあるオプウォだが、観察する分には面白い。
 普通に服を着ている人の横を、“オカ”を塗り手繰って赤茶色になっている裸のヒンバ族が歩いているかと思えば、頭にカブトムシみたいな帽子をかぶって、独特の衣装を着たヘレロ族の女性が歩いている。
 学生服を着た女子学生と一緒に歩いている友達が、オッパイ丸出しのヒンバ族の女の子だったりもする。

 ガイドブックによると、ヒンバ族の写真を撮る場合、“people photo”と称してUS$2を請求されることが多いらしい。 若い女の子の写真を撮りたかったので、町で声を掛けて写真を撮らせてもらおうと思ったが、何と声を掛けていいか迷った。
 「お金あげるからさぁー、ちょっと写真撮らせてよ」
 んー、これでは女子高生に金を渡してパンチラ写真を撮る日本の変態と変わらないではないか・・・

 夜、宿でばったりイギリス人のイアンと、その彼女ミシェルと再会した。 彼らとは一昨日プロスに向かう道の途中で出会って、一緒にプロスまで走った。 さらに昨日の朝も、ヒンバ族の集落の前でばったり。
 今日初めてゆっくり話をしたが、ポール・マッカートニー似のイアンは獣医さんで、キャメロン・ディアス似のミシェルは医者だそうだ。
 2週間掛けてナミビア北部を動物の観察をしながら、旅をしている。 彼らもヒンバ族の集落を回ったそうだが、ヒンバ族の割礼は十分な知識が無いまま行われていて、失敗が多いと言っていた。
 ちなみに割礼とは、男の子のチンチンの皮を切り取ること。
 ある集落では、2人の男の子のチンチンが割礼で大変なことになっていたそうだ。
 その内の1人はチンチンの先っちょが切れて半分落ちそうになっていたらしい。 ミシェルが手当てをしてあげたそうだが、イアンは見ていられなかったそうだ。
 何で割礼を施すのかは、彼らも知らなかったが、もしかしたら鋭利な石とかで皮を切っているのかも知れない。
 すっげー、痛そう・・・

 写真は、俺がシラミ小僧に割礼を施しているとこ。

今日の走行距離; 4.6km
今日の出費(2人分)
宿代: 200.00ナミビアドル
インターネット: 60.00ナミビアドル
合計: 260.00ナミビアドル(約4,290円)

ヒンバ族
2005年7月27日(水)
ヒンバ族

 村の近くにヒンバ族の集落があるというので、ガイドを雇って行ってみる。 ガイドを雇わなくても行けないことはないが、言葉が通じない。

 プロスから5kmほどの所に、木の柵に囲まれたヒンバ族の集落があった。 集落に入るには、1人20ナミビアドル(約330円)いる。
 一応、入る時に紙に名前などを書き込むのだが、『今まで日本人が来たのだろうか?』と疑問になって、今までの記録を見てみた。
 すると、今年の3月12日にJapanから来ているではないか! えーっと、名前は・・・ “NHK”じゃん! さらにガイドいわく、以前に日本人の女性が半年ほどヒンバ語を学ぶために滞在していたことがあるらしい。
 こんな所に来るなんて、NHKも、その人も変人だな。

 集落には男性はおらず、女性だけだ。 男性は牛やヤギの放牧に出掛けているそうだ。 女性も若い子はおらず、ババアだけ。 ちぇっ

 ヒンバ族の女性は、腰ミノだけでオッパイもろ出し、全身に“オカ”と呼ばれる赤石を潰した粉を塗り付けている。 もちろん、顔や髪にもだ。
 理由は、肌をソフトに保つためと、美しく見えるためだそうだ。 “美しい”の基準って人によって違うからね。 デブ専もいるくらいだし。
 子供は、大五郎(ロナウド)カットのヘアスタイルをしていたら、割礼済み。 それ以外のヘアスタイルだったら、割礼前だそうだ。
 さらに、彼らは水浴びをしないそうだ。 確かに割礼前の子供の頭にはシラミがいる・・・
 その子が鼻水を垂らしながら、「抱っこしてぇー」となぜか俺の方に来た。 彼女ではなく、俺の方に来たということは、純粋な子供の目には俺の方が心優しい人に見えたということだ。 子供は全て知っている。
 シラミがいたので追い払ったが。
 ちなみに、彼らの家は牛の糞で出来ている。

 プロスを出て、カオコランドの南部を1周する形でオプウォ(Opuwo)に向かうことにした。
 俺の持っているナミビアの地図2つとも、昨日から走っている道路は太い線でもなく、細い線でもなく、点線。
 説明を見ると、『4X4 required』と書かれている。 カオコランドの中に入るには、こんな道しかない。

 オプウォはカオコランド一の町らしい。 もう1泊プロスに泊まっても良かったのだが、とにかく電気がある所に行きたかった。
 もう4日間も電気がなく、俺のデジカメ2台、パソコン、i-Pod、携帯電話、すべて電池切れ。
 携帯はナミビアのSIMカードを入れてるのに、電波が入ったのはスワコプムンドくらいだった。
 俺の優先順位は、1.命、2.車、3.パソコン、デジカメ、4.金、5.パスポートってくらい、電化製品の順位は高い。 自慢じゃないが、どんな秘境でも行けるが、電化製品の充電だけはしたい。 基本的にインドア派だから。

 プロスからオルペムベ(Orupembe)までの120kmは最高のドライブコースだ。 四方を形の美しい山々に囲まれながら、ひたすら続く平原をひた走る。 ここの道路は良いので120km/hでも走れる。 でも、この道を“良い”と思うようになってしまった俺は終わってる・・・

 ようやくオルペムペに着いた。 ここからほんの100kmほど北上すれば、内戦中のアンゴラとの国境だ。
 ここオルペムペにもヒンバ族の集落がある。 見ると、若い子がいるではないか! しかも巨乳!
 「写真撮らせてくれ」と交渉しに行くが、「お前なんか撮らねえよ」ってババアが出てきて、100ナミビアドル(約1,650円)払えとほざきやがった。
 ヒンバ族が砂糖と水を欲しがるというので、物々交換にもっていこうとするが、ババア的には100ナミビアドルは譲れないらしい。 食えねぇ、ババアだ。
 さすがに、オッパイに宿代より高い金を出すわけにもいかず、諦める。

 オルペムペからカオコオタビ(Kaoko Otavi)までの200kmは悪路。 もう最近は地面の色を見たら、どれくらいスピードが出せる状態の地面なのか分かるようになってきた。
 我ながら、そんな自分がアウトドア派になっちゃいそうで嫌。 赤茶色の土の時は、比較的デコボコが少なく、地面が硬いので100km/h以上出しても大丈夫。 白い土の時は、砂漠のように柔らかく深いので、車の横滑りに注意しなければいけない。 さらに大事なのは、途中で止まってはいけない。 砂にハマって抜け出すのが一苦労だから、ドリフトしながらでも勢いで走り抜けないと。 砂利道は、石の大きさと形によって走り方を変えないとパンクが怖い。 パリ−ダカール・ラリーに出ようかな?

 200kmの道中には、幾つかのヒンバ族の集落を見ることが出来る。 だが、とにかく早く電化製品の充電がしたい俺は、砂埃をあげながらひた走る。 そのうちにバックミラーを見ても、後ろが見えなくなってきた。 後部ガラスに砂が積もってきたのだ。 砂の道路でちょっと深い溝に100km/hで突っ込むと、車高の高い4WDでも前のバンパーに当たって、砂がフロントガラスまで降ってくる。

 スプリングボックと、ダチョウと、競争もした。
 走っていると、道路の真ん中でポケーっとしていたスプリングボックが逃げ出したのは、俺と同じ進行方向。 面白かったので2kmほど追っ掛けてみたが、速い!
 80km/h出しても追突出来なかった。 それ以上スピードを出すと、俺が崖から落ちてしまいそうだったので、それ以上のスピードは出せなかったが、スプリングボックが80km/h以上で走れるということは分かった。
 ダチョウの場合も一緒だったが、彼も速かった。 ダチョウをパッシングしながら煽って知ったんだけど、ダチョウって首で舵を取ってるんだね。 後ろから見ていたら、蛇行する度に首がグニャグニャ曲がって面白い。 今日もまた少し大人になった。

 途中、ケープタウンを出てからの走行距離が、ついに3,500kmを超えた。 百科事典には、日本の長さが3,500km以上と書いてある。 どこからどこまでと明記していないが、北海道の稚内から、沖ノ鳥島までだろうから、それの計算で行くと、稚内を出て11日間走って、もうすぐ台湾という距離だ。

 オプウォの手前から、電柱が見えてきた。電気がある!
 思った通り、オプウォは大都会だった。 ガソリンスタンドが3軒もある! スーパーマーケットも何軒かあるぜ。
 ヒンバ族がオッパイもろ出しで街中をウロウロしているが、完全に観光客目当て。 だって、子供にまで“オカ”を塗って赤茶色にしてるけど、プロスや途中のヒンバ族の集落では、子供には塗っていなかったぜ。 あと、集落では必ずボスのババアが仕切っていて、子供なんて恥ずかしがってなかなか近づいてこなかったが、オプウォでは子供まで「1ドルくれ、甘いものくれ」と近づいてくるし。
 リアル・ヒンバを見るんだったら、カオコランドの奥地まで入っていかないといけない。

 オプウォで泊まることにした宿『Epupa Falls Campsite』で出会ったフランス人3人組はすごかった。
 大学の教授連中らしいが、プロスからオプウォまで荷物をロバに載せて12日間掛けて歩いて来たそうだ・・・
 俺がやろうと思ってたことを、やっている人がいた。 もう俺は絶対嫌だけど。 今日、俺が走ったルートと全く一緒だが、俺は約320kmを4時間で来たが、彼らは12日間で来たということだ。

 3人の中のおばちゃんが、宿のオーナーと討論を始めた。 ヒンバ族は“人間動物園”だと。 集落に入るのに、金。 写真を撮るのに、金。 車で行けないようなところに徒歩で行った彼らいわく、奥地にはまだまだ擦れていないヒンバ族もいるが、例え4WDだろうが車で行けるような所のヒンバ族は擦れているそうだ。

 俺の場合、同じ体験はイリアンジャヤのダニ族を見に行った時に既にしてあるから、ヒンバ族にも気分を害さなかったが、両方に共通して問題なのは、昔ながらの生活をしている彼らが、自分たちをピエロにして金をもらうという行為に虚しさを感じていないことだろう。

今日の走行距離; 336.1km
今日の出費(2人分)
テント設営代: 80.00ナミビアドル
ガイド料: 100.00ナミビアドル
村入場料: 40.00ナミビアドル
ヒンバ・ネックレス: 40.00ナミビアドル
ディーゼル代: 250.00ナミビアドル
雑費: 5.90ナミビアドル
合計: 515.90ナミビアドル(約8,510円)

カオコランド
2005年7月26日(火)
ワイルドになった日

 暑い! 朝日が出る7時半以降はテント内がサウナになり、寝ていられない。 教訓、テントは東側に木などがある所に立てよう。

 朝食をとった後、朝9時半に『Mbakonja River Campsite』を出て、C43号線を北上する。
 “北上する”というと、日本では寒い方へ行く感覚だが、ここ南半球では赤道に向かっているわけだから、どんどん暑くなる。
 昨日の夜も、寝袋が暑苦しかったほどだ。 つい一昨日にスケルトンコーストの手前で、寒さに震えながら泊まったのがウソのようだ。

 しばらく走ると、コワリブ(Khowarib)という集落がある。 「北部ナミビアに来たなぁ」と実感するのは、集落を見ても思う。

 元々ナミビアという国はドイツ領で、第2次世界大戦中に南アフリカに侵攻されて以来は南ア領だった。
 独立したのは1990年だから、つい15年前のことだ。
 スワコプムンドには、ドイツ植民地時代の重厚な建築が多く残り、ヨーロッパ的雰囲気の街並みだし、キャンプサイトのオーナーや自動車整備士など白人と出会う機会が多かったため、南部ナミビアでは“アフリカ”らしくないアフリカ旅行をしていた。
 でも昨日あたりから、土壁の家が数軒建っている集落に、全裸の黒人のガキが意味もなく突っ立ているのを見ると、今までと全く違う印象を受ける。
 本物のアフリカに来た。

 地図上でコワリブの少し先に温泉マークがあったので行ってみる。 “行ってみる”と軽く書いたが、「何じゃこりゃー!」という道路(?)を奥へ奥へ進む。 普通車じゃ絶対無理。
 ようやく辿り着くと、あったのは温泉ではなく、ただの泉。 しかも「誰、お前?」って奴が“写真代”に10ナミビアドルを払えと言う。 しつこかったので、くれてやった。
 そしたら図に乗りやがって、今度は「ブラザーが病気だから、食べ物をくれ」と言う。 「おぉ、かわいそうに」と、腐ったベーコンをくれてやる。 下痢で死んでくれ。

 彼女が「ここに行ってみたい」と言うので、プロス(Purros)という集落に行ってみることにした。
 セスフォンテイン(Sesfontein)という集落でディーゼルを入れた後、D3707号線で西に向かって走る。 これがとんでもないことになろうとは・・・

 山越え、谷越え、川越えとはまさしくこのこと。 今まで青森のスーパー林道を軽トラで爆走しているおっさんの方が俺よりワイルドだと思っていたが、今日は絶対に俺の方がワイルド。 ウルトラスーパー林道!! 林道じゃないけどな。
 小川も含めたら、川を20本以上は越えただろうか。 川を越えるといっても、橋なんてものはない。 今は乾期なので、1本を除いて水がなかったが、川底は大きな石がゴロゴロしていて走り難い。

 山を越えると、見渡す限りのサバンナが広がり、その大平原を縦断する。 すると谷があり、これまた大きな石がゴロゴロ。 めちゃめちゃアドベンチャーしてるじゃん。
 写真の真ん中の米粒みたいなのが、俺の車。 一番奥に見える山の向こう側からやって来た。
 途中、何度もこの先に人が住んでいるのか不安になりながら130kmの距離を2時間半掛けてようやく土壁の集落を発見。 心身共に疲れ果てた。 ここはもうヒンバ族の国カオコランドだ。

 第一村人発見! 「キャンプサイトはどこですか?」と尋ねると、「そこのメインロードを真直ぐ行くと、看板が出ているから」と教えてくれた。
 でも・・・『どこにメインロードがあるんですか?』って感じ。 言われた通り、村を横切って進むと、確かに道らしきものが。 さらに進んで、大きな川の川底を渡ると、そこが彼女が来たかったという『Ngatutunge Pamwe Camp Site』。
 ちなみに、「行きたい」と言い出した本人は道中の途中から無口になっていた。 しかも「行きたい」理由が、ガイドブックに「このキャンプ場のキッチンはきれい」と書いてあったから。
 どんなキッチンだったかは、コチラ

 キャンプサイトに入ると、特大のゾウの糞がゴロゴロしている。 お兄さんに聞くと、とても嬉しそうに「ゾウもいるし、ジャッカルもいるよー」と教えてくれた。

 6時過ぎ、お兄さんが村に戻っていくと、俺ら2人だけ。 6時半を過ぎると、漆黒の闇になった。

 星空を眺めるような柄ではなかったはずの俺だが、ここの星空には参った。 東西南北、見渡す限りの夜空に星が瞬いている。 “星が降る”とはこのことだ。 プラネタリウムの中にいるようだ。

 テントの外で何かが鳴いている。

今日の走行距離; 211.9km
今日の出費(2人分)
温泉: 10.00ナミビアドル
ディーゼル代: 172.60ナミビアドル
合計: 182.60ナミビアドル(約3,010円)

キリン
2005年7月25日(月)
野良キリン

 スケルトンコースト国立公園、日本語に直訳すると“骸骨海岸”国立公園に入る。 その名の通り、世界で最も荒れ果てたと言われている場所だ。

 キャンプサイト『Myle 108』から37kmでゲートに着く。
 ここで1人80ナミビアドルと、自動車1台10ナミビアドルを払って入る。

 公園内は全て砂漠だが、北へ進むごとに景色が変わってくる。
 最初は赤茶色の地面に、背丈の低い草が多く見られたが、徐々に細かい石だらけの地面になってくる。 下は砂だが、表面を黒い石が覆っているため、黒い大地を走っているような気がしてくる。
 ここら辺になると植物はほとんど生えていない。 たまに生えているのを見るが、数えられる程しかない。 それが過ぎると、石が大きくなり岩になってくる。 こうなると植物は見当たらない。 さらに行くと、黒い大地の中に白い砂丘が浮かび上がってくる。

 “骸骨海岸”国立公園は、近海で座礁が多いことから付けられた名前だという。 所々に、座礁した船が朽ち果てた状態で転がっている。 でも、実際に車を止めた道路脇に、動物の頭蓋骨が転がっていたりすると、別な意味でも“骸骨海岸”が当てはまるかも知れない。 こんな所では人間は住めない。

 スケルトンコーストを北上し、Torra Bayの10km手前で右に曲がり、東へ向かう。 すると、また景色が変わって最初に見た景色とはまた別の赤茶色の大地になる。 まるで地球が錆びているかのような印象を受ける。 山も錆びだらけだ。
 車を走らせていると、今まで何も無かった大地に植物が見え始めた。 しばらくは特に気にもとめず、通り越していたのだが、「あれ?」と思い急ブレーキ。 降りて見に行ってみると、やはり“ウェルウィッチア”だった。
 日本語名“奇想天外”、地球上で1属1種の砂漠に生える植物だ。 推定寿命数千年。 そのウェルウィッチアがあちこちに生えている。 ここからしばらくは道路沿いに沢山のウェルウィッチアを確認することが出来た。

 しばらく東に走ると、スケルトンコースト国立公園の出口『Springbokwater Gate』に着く。 ここで書類に国立公園を出る旨を書き込み、C39号線を走っていると、徐々に緑が多くなり、それと共に動物も現れ出す。
 景色は“アフリカ”のイメージ通りのサバンナになる。 ススキのような草が地面にびっしりと生えて銀色に光っている。 そしてアカシアの木がそこらじゅうに生えている。

 まず見かけたのはオリックス。 大型のウシ科の動物で、真直ぐな長い角を持ち、体色は灰色から白、顔と下腹部に黒の模様がある。 こいつがいきなり道路に飛び出してきた。 あんなのとぶつかったら、ホロホロ鳥のレベルではなくなる。
 続いて、なんだか木が動いてるなぁーと思って、よく見ると何と!野良キリン! 野良キリン、生まれて初めて見た。 俺の車を見て、走って逃げ出すが、足遅っ! 群れでいる沢山のキリンは見応え十分。

 しばらく走って、C43号線に入る。 パルムワグ(Palmwag)という集落の手前にゲートがあり、お兄さんが「ゾウやライオンが道路に出てくるから気を付けて」と言われる。 車が1台通る度にゲートを開け閉めしている。

 今日の宿は、C43号線からサバンナに6kmほど入ったところにある『Mbakonja River Campsite』にする。 この6kmが凄まじい。 ほとんどケモノ道。 こんな道の奥にキャンプ場があるんですか?状態だ。
 オフィスは土の家。 ホットシャワーは、ドラム缶に水を貯めて、焚き火で熱する。 原始的だ。

 夜、オフィスにいたジャッキーと、お姉さんのメラニが遊びに来た。 彼女達が、俺の持っているガイドブック『Lonely Planet』の動物が載っているページを興味深そうに見ていたから、何気なく「こんな動物は近くにいる?」と聞いたら、さらっと「ほとんどいるよ。ライオンやゾウは遠くだけど、チーターやハイエナとかよく見るよ」だって・・・さらに「寝る前に、テントの外に食べ物を残しておいたらダメ。 ハイエナが来るよ」とも言われた。

 ちなみに彼女達はダマラ族で、とてもフレンドリーだった。

今日の走行距離; 378.9km
今日の出費(2人分)
国立公園入園料: 170.00ナミビアドル
テント設営代: 60.00ナミビアドル
薪: 10.00ナミビアドル
合計: 240.00ナミビアドル(約3,960円)





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