今日は面白い日記が書けそうです。
久しぶりに『海外旅行っぽい』体験をしました。
今日の日記は長いですよー。
とりあえずは、今日の行動から。
本日、ついに日本行きの船のチケットを買った。
来週初めに上海を発つ『蘇州号』のチケットだ。 「学生ですっ!」と言って、2006年末で有効期限の切れている学生証を提出してみたが、予想通り拒否され通常大人価格の1,300元(約20,500円)で購入。
これで日本帰国は秒読み段階である。
チケットを買った後は、外灘を散策してみる。
もちろん12年前にも来た場所である。 列強の租界が置かれていた場所で、ヨーロッパ建築の建物が並ぶ通りだ。
外灘自体は昔から変わっていない気がするが、周りの景色が違う気がする。 特に川向こうの浦東区は全然違う。 『東方明珠塔』というテレビ塔は、12年前には完成していたが、その周囲はもっと寂しい感じだった記憶がある。 日本では倒産した『ヤオハン』もあって、12年前に行こうか迷ったのだが交通が不便なので結局は行かなかった。 今も『ヤオハン上海』はあるらしいが、創業者の和田一族とは資本関係がないそうだ。
上海にいる間に、アジア最大の巨大百貨店であり、かつヤオハンが倒産する原因になった上海ヤオハンにも行って見ないと。 ヤオハンは元々、静岡県熱海の八百屋だからね。 昔住んでいた伊豆はヤオハンのお膝元だった関係(?)もあるし。
浦東区にそびえ立つ超高層ビル群を眺めた後は、ショッピングをすることにした。
とりあえず靴が買いたい!
『南京東路』という繁華街を歩きながら、気に入る靴がないか?探した。
『味千らーめん』で豚骨らーめんを食い、『ユニクロ』を覗いてみる。 『ローソン』でジュースも買った。
なかなか良い靴が見付からない。
『味千らーめん』って九州のらーめんチェーン店なんだけど、バンコクにもある。 だが、上海の『味千らーめん』はバンコクのそれと違い、らーめん以外のメニューもあって居酒屋風だった。 味だが、スープはバンコクのと変わらないが、麺が違う気がした。 なぜなら、バンコクの『味千らーめん』は美味しいとは思わないが、上海のは美味しくないとも思わなかったから。
俺の味覚レベルが下がってるのか?
さらに靴を探し歩いていると、突然中国人女性に声を掛けられた。 もちろん何を言っているか分からないので、英語で「中国人じゃないから」と答える。
すると、突然英語で話し始める彼女。
えー、ワタクシ、『犬も歩けば売春婦に当たる』ということわざでも有名な性産業の都バンコクに五年住んでいたことがあります。 このワタクシが、ピピッと「こいつは素人じゃないな」と直感したわけです。
この直感が正しかったことを証明したわけですが、俺が予想していたのと違う形で素人ではありませんでした。
今日の日記の本題はここからです。
突然、英語で話し始めた彼女だが、本人曰く「昨日、青島から上海に遊びに来た」のだそうだ。
そのくせ、「アディダスのお店はどこ?」と聞いたら、「あっち」と即答できたことは称賛に値する。 昨日来たばかりにしては、随分と詳しいねぇー。
さらには電話で連絡を取り始め、直ぐに別な女性が現れた。 「一緒に青島から来た友達」だそうだ。
ハイハイ・・・
後から来た友達は、なぜか日本語を少し話す。 理由は「日本が好きだから」。
偶然にしては随分と出来すぎたお話しですこと。 日本語を話せる子が、偶々日本人を捕まえた?
何だか面白そうなので、少し彼女たちに付き合ってみることにした。
しばらく話をしていると、「座ってお茶でも飲みましょう」と言われた。
言われるがまま付いて行くと、繁華街のど真ん中にある近代的なショッピングセンターの3階にあるコーヒーショップに連れて行かれた。 随分とオープンな感じの、小奇麗な店である。
メニューを見ると、高い。
が、「まっいいや」と思って30元(約470円)のコーヒーを頼んだ。
するとコーヒーと一緒に、頼んでもいない特大フルーツ盛り合わせ、ピーナッツなどの“おつまみ”が出てくる始末である。
ほーぉ、大体どんなお店か想像がつくな。
と思いながらも、食っちゃったけど・・・
さらには、女の子2人が勝手にウィスキーを頼み始めた。 まぁ、ついでだから出されたウィスキーは全部飲んじゃったけど・・・
女の子たちは、やたらと「ガールフレンドどうこう」だの、「中国人女性と付き合ったことはあるか?」などの『男女関係』系の話題を振ってくる。
「男の下心を上手に利用してやろう」という思惑がある話の振り方だ。 ガキの分際で、俺を嵌めようとしてますね?
程よく酔っ払ってきたし、お勘定をお願いした。
出てきた請求額は・・・
6,000元(約9万5千円)也!!
ワーォ、予想していたよりもかなり高くてビビっちゃった!! 上を取られたねぇ・・・
途中から、この2人は美人局や援助交際ではなく、俺をぼったくりバーに連れてくるのが目的だったということには薄々気付いていたけど。
俺としたことが『素人ではない』と読んだところまでは良かったが、読みが浅かった・・・
でも、俺のポケットには250元(約4千円)しか入っていない。 日本行きのフェリーのチケットを買っちゃったからね。
すると、マネージャー風の、請求書を運んで来た女性が中国訛りの日本語で「あなた、暴力が欲しいの?」と聞いてきた。
難しい質問である。
己に暴力を欲するほど、マゾではない。 でも、6,000元の請求に対して250元しか持っていないわけですから・・・「欲しくはないけど、(それも)仕方ないでしょ」と答える。
すると「他にお金ないの? 調べなさい」と、いつの間にか命令口調で指示される始末。
素直に「はい」と、ポケットをまさぐる。
結果、俺の財布の中にあった1000トルクメニスタン・マナト(約5円)、60ベラルーシ・ルーブル(約3円)、100ウズベキスタン・スム(約9円)、80ザンビア・クワチャ(約2円)、50セルビア・ディナール(約90円)、1トランスドニエストル・ルーブル(価値ゼロ)など、合計110円相当の札束が見付かってしまった。
なぜか、チラ見しただけでポイッと投げ捨てられた。
まぁ、完全にぼったくりバーだったわけですが、何故かめちゃくちゃ冷静沈着でいられた。
酔っ払ってたからかな?
すると、女の子2人が「私たちが頼んだのが悪いから、3人で割り勘にして1人2000元ずつ払いましょう」と提案して来た。
「ほら、私のカードで4000元を払うから」だって。
一見すると至極真っ当な意見のようだが、釣られて同意しては向こうの思う壺である。
「いやー、俺の方が沢山飲んじゃったから、それは悪いよ」と、意味不明な言い訳をして誤魔化す。
こういう場合は第三者立会いの下で話をした方がいいだろう、と思い「とにかく警察に行って話をしましょ」と言うと、「よっしゃぁーっ、警察に行ってやろうじゃねーか!」的に何故か気合満々の男性ウェイターたちが集まってきた。
女性マネージャー曰く「私、ヤクザ知り合いね」。
同時に女の子2人が態度を急変させ、「警察に行くのは良くないから、私が全部を払う。 これで終わりにしよう」と言って来た。
あっ、日記書いていて気付いたけど、俺ミスってるわ。 ここで女の子たちの言う通りにしていたら、このまま終わっていたかも知れない。
が、なぜかそれには同意せず、警察に行くことにこだわった俺。 すると気合満々のウェイター(デブ)が「よしっ、警察行くぞ!」と俺を引っ張った。
ここで告白してしまうが、俺は人様に引っ張られることが嫌いである。
そこで「その汚い手で俺を触るな」と英語で言ったわけです。 放送禁止用語も交じえてね。
すると、デブが蹴ってきた。 前蹴りってやつ。
「何っ?! もう一度言ってみろ!」と。
普通だったら俺も当然のごとくキレるが、今日は自分でも驚くほど冷静だった。 強がりで言う訳では決してないけど、全然痛くなかったし。
「だから、その汚い手で俺を触るなって言ったの」
すると、また蹴ってきた。
『ここで俺が殴り返したら、後々状況が俺に不利になる可能性がある』などと頭の隅で考えながらも、『相手は女抜きにしても5人だから、勝てないだろうな』と状況分析。
しかし頭では冷静でも、ついつい口には出ちゃうものです。 女性マネージャーが口喧しいので、せっかくだから「ビッチ」呼ばわりしたわけです。
そしたら、ビンタされちゃいました!
女性にビンタされたのは初めてかも・・・
ビンタされた時、俺はそんな事を考えていた。
「殴りたいなら、女性の私を殴り返してみなさいよ!」と、本物のビッチっぷりを発揮する彼女。 何だか彼女がわざわざ「女性」という言葉を使ったことが滑稽で、笑いながら「いや、俺は殴らない。 ここにいる“ビッチの息子たち”(SOB)とは違うからねぇ」と言うと、今度は周りのウェイターたちがキレた。
改めて文字にしてみると、若干だが俺が火に油を注いでいた気がしなくもない・・・
俺の発言にキレたウェイターたちに囲まれ、胸ぐらを掴まれる。
何を言っていたか?よく聞き取れなかったけど、多分というか間違いなく脅し文句を言っていたと思う。
でも意味が分からなかった・・・
その内に向こうも飽きてきたのか?「もう行け!」という事になった。 ショッピング・センターのガードマンも来ていた。
そのガードマンが、店から離れたところで「あの店には近づくな」的なジェスチャーをしてきた。 ということは、常習犯ってことだな。
女の子2人は、俺がウェイターたちと揉み合いをしている間に消えていた。
「色々とお疲れ様でした!」 とりあえずタバコでも吸おうとタバコを口にくわえるが、ライターがない!
あの店に忘れてきた・・・
仕方がないから、戻る。
「俺、ライター忘れちゃったみたい」と。
そしたら、今日買ったばかりの上海の地図も忘れていて「おぉ、すっかり忘れてた!」と返してもらったが、肝心のライターがない。
結局、ウェイターからライターを貰っちゃいました。
ちなみに、後でポケットの中を探ったらライターありました・・・
一服しながら、どうしようか?考える。
店でCitibankのATMカードを取り上げられて、俺の目に見えないところに持って行かれた空白の数十秒がある。 スキャミングされている恐れもあるから、とりあえず止めておこう。
高級ホテルのビジネス・センターから日本のCitibankに電話を掛けたら、97元(約1,530円)も取られた。
ついでに、在上海の日本領事館にも電話する。 250元(約4千円)を払ったことはどうでもいい。 だが、デブが俺を蹴ってきたことは許せん。 女のビンタは・・・別にいいや。
最寄の警察署の住所を聞き、「中国の警察って、どうなんでしょう?」と一応は聞いてみる。 途上国の警察は腐っていて当然だからな。 裏で暴力バーと繋がっていて、警察に行っても無意味なら、行くだけ時間と労力の無駄だし。 そしたら、「少なくとも上海の警察はまとも」らしい。
大使館の人によると、上海では暴力バーが流行っているそうだ。 「注意を呼びかけているんですけど」と言っていたが、まんまと引っ掛かったワタクシ。
教えられた住所の警察署に行き、英語を話す警官に通訳してもらい、怖そうな顔の警官に経緯を説明する。 彼は別の仕事をしながら、フンフン聞いている。
その後、放置プレイ。
・・・ん? 質問とかしないの?
ボケーっと10分ほど警察官たちに囲まれながら、何がどうなっているのかも分からないまま待っていると、俺の隣りに立った人がいる。
ん? 見たことがある顔だな・・・
と思ったら、俺を蹴ったデブじゃねーか?!
何だ、この手際の良さ?
やはり常習犯で、警察も直ぐ誰と特定出来るんじゃねーか? 調べもせずにデブに連絡が行っているということは、そういうことだろ。
デブは、いきなり俺に250元を返してきた。
が、「金は要らない」と突き返す。
するとデブは「何だ?! お前は何がしたいんだ?!」と声を大きくした。
「俺もウィスキーをカパカパ飲んじゃったしねぇー、お金は仕方がないと思ってるけど、お前が俺を蹴ったことが許せん」と言うと、「じゃぁ、何だ?! 何がしたい?!」と聞いてくる。
「じゃぁ、俺と寝ろ!」と言ったら、こいつビビるかな? でも「いいよ」って言われたら、今度は逆に俺がビビるしな・・・などと考えていると、「どうしたい? 俺を蹴るか?!」と言って来た。
おっ、それグッド・アイデア!
「何発、俺を蹴った?」と聞くと、「3発」と言う。
そんなに蹴ってたんかい!!
「じゃぁ、俺にも3発蹴らせろ」
警察からもOKが出たので、蹴らせて頂いた。
むかーし、むかしにムエタイのジムにずっと通っていたことがある。 仕事帰りのエクササイズとかではなく、朝のマラソンから始まって、ひたすらサンドバッグを蹴って、ミット打ちで1日が終わる数ヶ月。 結局は(マラソンはサボっていたし)体力がないし、動体視力が悪いから止めたが、今はその頃の面影すらないのでムエタイの事を自分の口から出すことはない。 格闘技経験者と勝負をしたら、確実に負ける自信があるからな。
でも、デブよりは蹴りが上手い自信がある。
全身全霊でローキックを3発、警官たちの前で放ってきました。
そして、警官が「よしっ、これで終わりだ!」と宣言し、店の名前を書いた紙を破り捨てろと指示された。 そして、なぜかデブと握手をしてお別れ。
一度は断ったものの、「やっぱり返せ」と250元も返してもらい、最終的には実害ゼロで終わりました。
どちらかと言えば、タダ酒を飲ませていただいて恐縮してます。
『何だか、今日は充実していた一日だったなぁ』と思いながら、警察署から地下鉄駅に向かっていると、中国人2人組が中国語で話しかけてきた。
女性2人組である。
「中国語は話さない」と言うと、いきなり英語に変わり「本屋さんはどこですか?」と聞いてきた。 普通、外国人に聞くか?
だが、心優しい俺は地図を買った本屋さんを教えてあげた。
すると、「一緒にお茶でも・・・」だって(笑)
これ、ネタじゃないです。
またあの店に行ったら面白いかな?とは少し思ったが、そこまでする元気はない。 「さっき会った別の2人組と手口が似てるよ」と言うと、あからさまに嫌な顔をされて離れて行った。
『なんて町だ、上海は!』と思いながら、地下鉄に乗って宿に帰ってきました。
かなり混んでいた車内から出て、ジャケットのポケットに手を突っ込んだら違和感が・・・
右ポケットに入れておいた物がない!!
すられた・・・
日本領事館の電話番号を書いた紙と、暴力バーに忘れていったが結局は返ってきた上海の地図。
欲望と罠が渦巻く大都会・上海を満喫中です。
旅の出費;
地図: 8元
地下鉄: 8元
外食代: 38元
電話代: 97元
蘇州号(→大阪): 1,300元
合計: 1,451元(約22,900円)
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