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中東旅行日記


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現在地はどこなの?

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ジブチ→イエメン間の船
2006年5月8日(月)
アラビア半島上陸

 朝目を覚ますと、既にアラビア半島が見えていた。
 いよいよ新大陸にやって来た! 海賊にも遭わず、沈没もせず、無事に朝9時過ぎにイエメン共和国のモカ港に到着。
 俺にとって中東はじめての国となる『イエメン共和国』にやって来た。 イエメンはハード・イスラム国家で、町行く女性は目だけ出した黒装束。 男はサダム・フセインやビンラディーンみたいのがいっぱいいる。

 係官に、「俺はツーリストね、テロリストじゃないからね」と言って無事入国。 係官も、女性係官(全身黒装束)を指差して「ニンジャ、ニンジャ」とご機嫌。 女性係官も目だけしか見えないが、それでも『アラブ美人なんだろうなー』と思う感じだ。
 若干黒人の血が入った人を見掛けるが、大抵の人はアラブ人で『アフリカを出たんだ』と実感が湧いてきた。

 大抵のイエメン人の男は『ジャンビーラ』と呼ばれる小刀を下腹部のベルトに挟んでいる。 『ジャンビーラ』は、侍の日本刀だと思えば分かり易い。 『ジャンビーラ』を抜いた時には、相手を必ず倒さなくてはならないなど、軽々しく抜いてはいけないモラルに支配されている。
 当然、『ジャンビーラ』はイエメン人の男にとって魂だ。 雨が降ってきた時に、俺が名刀『正宗』が濡れないように喫茶店や商店街の軒下に走り込むのと一緒で、雨が降るとイエメン人の男達は『ジャンビーラ』が濡れないように、ビニール袋を被せたりして刀を守る。
 ところが、俺が乗った乗合タクシーの運ちゃんの場合、『ジャンビーラ』が雨に濡れないようにしているのは一緒だったが、その方法が他の人と違っていた。
 そのおっさんは、『ジャンビーラ』を自分のシャツの中に入れて雨から守っていた。 おっさん・・・その格好は止めた方がいいよ。 だって、傍から見ると勃起してるみたいで厭らしいもん。

 船で一緒だったジブチ人たちと一緒に、乗合タクシーに乗ってモカ(Mukha)からタイズ(Taizz)という町に向かい、タイズで車を乗り換えて首都サナア(Sana'a)に向かう。
 とにかく道路がキレイ! 石油産出国の中でもイエメンはあまりパッとしない国だが、それでもアフリカとはレベルが違う。
 モカからタイズまでは1時間半、タイズからサナアまでは5時間掛かった。
 モカからタイズまでの景色は低地の砂漠。 タイズから険しい山道になり、景色も美しい。
 首都サナアは、標高2,300mの高地にある。 高地で夜は肌寒かったアジス・アベバから、海岸沿いのジブチに下って死ぬほど暑かった後、やはり海岸沿いのモカから高地のサナアに上って、やっぱり寒い!! 温度の変化が激し過ぎ・・・

 首都サナアには夜着いたが、こんな大都会に来たのは久しぶりだ。 高層ビル群があるわけではないが、町全体が大きく、町中はネオンの光で溢れており、開けた感じのする町だ。
 なんだか雰囲気もよいし、好き。

 アフリカと違い、イエメンに入ってからは人々がいちいち絡んでこないのも素晴らしい。 モカやタイズでは乞食や子供たちが近づいてくるが、「チャイナ」や「アリババ」など野次は1度も飛ばされなかった。 ようやく“大人な”人たちの国に会ったって感じ。

 サナアの日本人宿『マナハ・ツーリズム・ホテル』で、ナイロビ、アジス・アベバで一緒だった藤さんと再会。

旅の出費
外食代: 650イエメン・リアル
乗合タクシー: 1,800イエメン・リアル
合計: 2,450イエメン・リアル(約1,430円)

世界最古の摩天楼都市オールドサナア
2006年5月9日(火)
世界最古の摩天楼都市

 5,000年の歴史を誇る“幸福のアラブ”イエメンの首都サナアのキャッチフレーズは、『世界最古の摩天楼都市』。 その市壁が建設されたのは1,800年前だと言う。
 1986年にはユネスコの世界遺産にも指定された、町そのものが博物館な旧市街『オールドサナア』に行ってみた。
 う〜む、素晴らしい!! 久しぶりに、凄い所に来た。 建物自体が石か日干し煉瓦が造られているし、道も石畳なせいもあってか、雰囲気にも重みがある。
 人間の技術的、物質的所産という定義で文明を語るとすれば、つい100年前まで壁画を描いていたアフリカ(ザンビアの話)と比べちゃう事自体がイエメン人に申し訳ないが、その差を見せ付けられた感がある。
 やはりその差は人間にまで及んでいるのか?人々も落ち着いており、「ひーほー」とか「ユー、ユー、ユー!」などと言ってくる輩はゼロ。 まだ「チャイナ!」と言われたこともない。 向こうから話し掛けてくる時は、まず挨拶から始まる。 続いて「どこから来た?」。
 礼儀作法を知っている(実践している)人種は、接していても非常に感じが良い。
 良い意味で観光客慣れしており、カメラを手に持って歩いても変な気を使わない。
 子供達も「写真を撮ってくれ」と近づいて来る。 アフリカの場合、これで撮ってしまうとお金を請求されるが、イエメンでは撮っても嬉しそうに走り去るだけだ。

 そんなイエメンでも、田舎に行くと人もうざいらしいが、今の俺にとっては天国のようだ。

 いやー、イエメンは大変よろしい!!

旅の出費
宿代(1泊分): 600イエメン・リアル
外食代: 660イエメン・リアル
生活用品: 90イエメン・リアル
インターネット: 130イエメン・リアル
合計: 1480イエメン・リアル(約870円)

(C)のり
2006年5月10日(水)
イスラム社会の女性

 アフリカで荒んでしまった心を癒すべく、まったりモードに入った俺。 ビザを延長してでもイエメンに長期滞在しようか思案中。

 食事時にレストランに入ると、女性が全くいないことに気が付く。 レストランは男性の場だから、女性が1人で来ることなど有り得ないそうだ。 ただ、レストランによっては『ファミリールーム』と呼ばれる別部屋を設けている場合もあり、女性は男性と別の部屋で食事を取る。
 実際、モカからタイズまで乗った乗合タクシーに、ジブチ人女性3人組が同乗していたが、昼食の時は彼女たちだけ別部屋に入っていった。
 ただ、外国人の場合は大目に見てくれるようで、普通に店の中で食べても大丈夫なようだ。 田舎に行くと厳しいかも知れないけど。

 また、サナアで見掛けるイエメン人女性は全身黒装束だが、外国人女性の場合は髪の毛を露出しない(帽子を被る等)だけでも許されるみたい。 イスラムの世界では、女の髪は男を欲情させるのだそうだ。

 同じ宿に日本人旅行者が8人いるが、藤さんを除いて皆パソコンを持っている(カップルは2人で1台)。 11年前に旅行した時から考えると、時代も変わったな〜。
 データ交換で、新たに映画4本を手に入れた。 『岸和田少年愚連隊』、北野武『みな〜やってるか!』、『AKIRA』、宮崎駿『天空の城ラピュタ』。
 俺のパソコン本体、外付HDD共に容量が一杯で、何か対策を考えないと。

旅の出費
外食代: 510イエメン・リアル
インターネット: 145イエメン・リアル
合計: 655イエメン・リアル(約380円)

フレーム
2006年5月11日(木)
バーバルヤマン

 宿のあるタハリール広場から歩いてバーバルヤマン(イエメン門)に行ってみた。 かつて城壁に囲まれていたオールドサナア(旧市街)には5つの門があったそうだが、現在残っているのはバーバルヤマンだけだ。

 バーバルヤマンの目の前にホテルがあった。 そのホテルの屋上からバーバルヤマンを見下ろすと、その後ろに広がる旧市街と相まって良い写真が撮れそうだと思い、ホテルのフロントに「屋上に上がらせてくれ」と交渉。
 親父が『300リアル(約175円)』などと言って来たので、帰ろうとすると200リアルに下がり、それでも帰ろうとすると100リアル(約58円)まで下がった。 でも、感じの悪い親父だったので結局屋上には上がらずに出たけど。
 金の問題じゃなくて態度の問題なんだけどね・・・

 バーバルヤマンから旧市街に入り、スーク(市場)を眺めながら散歩。 いちいち現地人に絡まれなくて歩けるって素晴らしい。
 旧市街は迷路のようになっている。 適当に歩いていたら『タージ・タルハ・ホテル』の目の前に来た。 一度は旧市街に泊まってみるのも良い経験だと思い、ホテルを物色中だったので、ここも部屋を見せてもらった。
 『オールド・サナア・ホテル』も旧市街で名の知れたホテルだが、俺としては『タージ・タルハ』の方が良い。 『オールド・サナア』の方が建物が高く、見渡せる景色は良いが、ホテルとしての設備は値段相応とは言えない感じだ。 本当に景色だけのために泊まる感じ。 『タージ・タルハ』の方は、値段は『オールド・サナア』より高いが、雰囲気があってよい。
 ちなみに、『オールド・サナア』の最初の言い値は20USドル(ツイン)、『タージ・タルハ』は25USドルだ。

 写真は、『タージ・タルハ』の屋上から見た景色。

旅の出費
外食代: 530イエメン・リアル
インターネット: 50イエメン・リアル
合計: 580イエメン・リアル(約340円)

新市街から望む旧市街
2006年5月12日(金)
カルチャーショック

 イエメンに来てはじめてミニバスに乗った。 ミニバスは、イエメンでは『ダッバーブ』と呼ばれており、タクシーの5分の1から10分の1の値段で乗ることが出来る。
 アフリカのミニバスは、普通車のワゴン車を使用したものだったが、イエメンのそれは軽自動車のワゴン車(スズキのミニキャブ)を使用している。

 そのダッバーブに乗って、ハッダ通りに行く。
 この辺りにはKFCや大きなスーパーマーケット、小ぎれいなレストランが多くある。
 KFCなんて南アフリカ以来だ。
 スーパーマーケットに行くと、中にコピーDVD&CD屋さんがあった。 まず買ってしまったのが、ナンシーのアルバムCD。
 誰、ナンシーって?
 流行ってるらしいです、中東で。 流行りモノに弱いから、俺。
 さらに、日本語DVD(もちろんコピー)を見付けたので2枚も買ってしまった。 『ファイナル・ファンタジー(アドベント・チルドレン)』と『アップルシード』。 どちらもアニメだ。

 宿に戻って、さっそく藤さんと2人で『アップルシード』をパソコンで観た。
 ・・・すげーっ!! なんなの?この技術は? その実写ばりの映像美に失禁。 ジャパニメーションはハリウッド映画に充分対抗出来るよ、こりゃ。
 いやー、今日はイエメンで非常にカルチャーショックを受けた。 俺の知らない間に時代は進歩しているようだ・・・

旅の出費
食費: 435イエメン・リアル
外食代: 810イエメン・リアル
ダッバーブ: 40イエメン・リアル
DVD: 2,000イエメン・リアル
電化製品: 160イエメン・リアル
宿代(4泊分): 2,100イエメン・リアル
合計: 5,545イエメン・リアル(約3,250円)

オールドサナアの夜景
2006年5月13日(土)
アラビアン・ナイト

 ダッバーブを乗り継いで空港に行く。
 タハリール広場からハサバに行き、ハサバで乗り換えてマタール(空港)に行き、運賃は50リアル(約30円)。 安っ!! 空港からはエアポートタクシーで帰ってきた。 エアコン付の高いやつで、運賃は2,000リアル(約1,170円)。 高っ!! 約40倍ですか・・・

 空港に行ったのは、彼女を迎える為。 ムルシ族のムルちゃん、合言葉は『下くちびるから媚薬』by工藤静香。 意味が分からない人は、適当に流してね。
 空港から戻って来てまずしたことは、『ファイナル・ファンタジー』のDVDを交換しに、昨日行ったお店にお出掛け。 昨日、『アップルシード』を観終わった後に『ファイナル・ファンタジー』を観ようとしたら、パソコンがDVDを認識しない(泣)。 そんなわけで、昨日は『ファイナル・ファンタジー』だけ観れなかった。
 彼女? DVDを手にして、「ウキッ?」と言いながら槍持ってジャンプしてた。 釣られて俺も日本刀を振り回しながら「ウホッ!」とジャンプ。 愛に言葉なんていらない。
 これ以上赤裸々に暴露すると、彼女に怒られるので止めます。

 今晩の宿は、旧市街の『タージ・タルハ・ホテル』。
 日が暮れると電灯に赤く浮かび上がる旧市街が美しい。 新市街の方が灯りは多いので、夜景としては少し寂しいが雰囲気はタイムスリップ系。 アザーン(モスクから拡声器を使って叫んでるやつ)と合わせて、気分はアラビアン・ナイト。

旅の出費(2人分)
タバコ: 400イエメン・リアル
タクシー: 2,150イエメン・リアル
外食代: 2,040イエメン・リアル
ダッバーブ: 130イエメン・リアル
合計: 4,720イエメン・リアル(約2,760円)

フルーツジュース屋さん
2006年5月14日(日)
フルーツジュース

 旅行代理店に行って、ソコトラ(Suqutra)島行き航空券を予約する。
 ソコトラ島はイエメン領だが、アフリカ大陸はソマリア沖にある沖縄本島より少し大きい位の島だ。 今、この島が旅行者たちの中で熱い。 エメラルドグリーンの海、変わった生態系の動植物と、マダガスカルのような島だ。
 ダウ船(しょぼい帆船)に乗れば3日くらいで行けるらしいが、海賊が出るので外国人のソコトラ島へのボートでの渡航は禁止されている。
 ソコトラ行きの飛行機は、外国人料金が適用されるが首都サナアから片道78USドル(約8,600円)で行ける。
 陸路・海路に死ぬほどこだわってる訳ではないので、飛行機使っちゃいます。 1人だったらダウ船で行くのも有りだったけどね。

 あっ、そういえばミラクルは3日前にオマーン首長国に向けて旅立って行った。 相変わらずの高速移動パッカーだ・・・ まー、変態だからね。
 彼は陸路・海路に死ぬほどこだわってるので、イエメンから陸路でUAEまで抜けて、UAEから船でイランに向かう様子。
 俺はヨルダンとかシリアなどを見て回りたいから、どんなルートを取るかは別にしても、エジプトに行く様子。
 しかも俺は超鈍足パッカーだし、ミラクルと再会する可能性は低い。 ヨーロッパから日本に帰るルートも同じなんだけどね。

 夜出ている露店商でソコトラ島用にツバ付帽子を買った。
 値段交渉すると言っても、こちらはアラビア語駄目、向こうは英語駄目でお話にならない。 そうなると手話になってしまう。 幾ら?と聞くと、少年の露店商は指を2本立てて、続けて5本立てた。 ほほ〜、250リアル(約145円)ね。 「要らない」と返すと、200リアルに下がり、さらに渋い顔をすると150リアル(約85円)に下がった。
 100円切ってるのは安いじゃん、と2個買うことにした。 値段を聞くと、少年は指を2本立て、続けて3本立てた。 マジで〜!2個で230リアル(約135円)って、超安い!! 少年に230リアルを手渡すと『えっ?』という顔をされたが、指2本を立て、続けて3本立てて「230リアルだろ?」と確認したら、苦笑いする少年。
 いやー、今日はいい買い物をした!と思いながら宿に帰る。 その帰り道、フッと思った。 ん?待てよ、幾らなんでもこの帽子が2個で135円って安過ぎだな・・・ も、もしかして、指2本(帽子2個で)、指3本(300リアル)の意味だった気が・・・
 ちょっと少年に申し訳ないと思った次第であります。

 写真は町中いたるところにあるフルーツジュース屋さん。 レストランより数が多いのではないか?と思うほど沢山ある。 店先の軒下にマンゴーをぶら下げているのが目印だ。
 レモンジュースが20リアル(約10円)、バナナジュースやメロンジュースだと50リアル(約30円)で飲める。
 日中は暑いサナアで、喉が渇いたらフルーツジュースで水分&ビタミン補給。

旅の出費(2人分)
ジュース代: 290イエメン・リアル
外食代: 1,260イエメン・リアル
帽子: 230イエメン・リアル
宿代(2泊分): 50USドル
合計: 1,780YR+50USD(約6,790円)





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