北朝鮮旅行【3日目】踊る演者と眺める人民

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北朝鮮が観光客に見せたい“プロパガンダ施設”は沢山あるので、かなりタイトなスケジュールになっています。
ダラダラしてなかなかバスに乗らないでいると、ガイドさんからは容赦なく「パリパリ!」と急かされます。
なにやら朝鮮語で「急いで!」という意味らしいのですが、オレにはスワヒリ語の「ポレポレ」に聞こえて・・・

ちなみにスワヒリ語で「ポレポレ」は、「ゆっくり」という意味です。

大城山革命烈士陵

続いて連れて行かれたのは大城山革命烈士陵
「日本植民地時代に、偉大な金日成主席の下で独立闘争をした愛国烈士たちの墓地」だそうです。

「献花しましょう」というお話は、お断りさせてもらいました。

ツアーメイトの皆が面白がって、ガイドさんに「北朝鮮にとっては、アメリカと日本とではどっちが悪者?」と聞いていて、ガイドさんが「日本」と答えると、なぜか皆から「どんまい」と肩を叩かれるオレ・・・
明日には“反アメリカ帝国主義”の場所に行くということで、アメリカ人は「今日は日本だったけど、明日はオレたちの番だ」と笑ってました。
ただ、これは他の皆とも話したことなんだけど、ガイドさんは『反日本帝国主義』とか『反アメリカ帝国主義』とか色々言ってるけども、オレやアメリカ人を“個人的に”嫌ってる感は見せなかったので「まぁ、まだいいよねぇー」という意見で一致しました。
オレとアメリカ人だけシカトされるとか、レストランに行ってうちらだけご飯が出てこないとか、嫌だもん(笑)

公園

パリパリで行きましょう。
次に行ったのは普通の公園です。

踊りの輪

おや?なんだか公園内に人だかりができていて、音楽が聞こえます。

近付いてみると・・・

踊るバアさんを取り囲む民衆たちが・・・

ガイドさんによると、今日は金日成の誕生日ということで国民の祝日だから、皆さん公園に来てピクニックをしている・・・とのこと。

見た目からして“外人”である他のツアーメイトたちは、バアさんたちに手を取られて無理矢理踊りの輪の中に消えてゆきました。

ちなみに、オレには誰からも声がかからず(泣)

まぁ、“外人”の中でオレだけアジア人でしたからねぇ、一眼レフを持った当局の『監視員』に見られていた可能性もあったりして。
別に踊りたくなかったからいいのですが、せっかくの機会なので人々を観察していました。

当局者を見分けろ

踊り終えたニュージーランド人がオレに近付いてきて、小声で「北朝鮮では、観光客をこういう所に連れてくる時はそこにいる人全員がニセモノだって聞いてたけど、そんな感じはしないよね」と言ってきました。
“ニセモノ”というのは、純粋な『一般平壌市民』ではなくて、それを装った『エキストラ』ということです。
ほほぉー、オレもその話は聞いたことがあるけど、ニュージーランド人までその情報を知っていたとは・・・

確かに、ニュージーランド人が感じたように、オレも人々を観察していて「全員がニセ“一般市民”ではないな」とは思ってました。
というか、圧倒的大部分の人が一般人だろう、というのがオレの意見。

そもそも、↑これだけの人数のエキストラを揃える意味がないし。

ただ、添乗員も言っていたけど、ピクニックに来ている人たちの中には我々外国人観光客が来ることを事前に知っている人たちもいるのは事実なようです。

そのエキストラくさいのは・・・大体は想像がつきます。

オレ以外のツアーメイトたちを踊りに誘っていた、チマチョゴリを着て、ばっちり化粧したバアさん連中。
チマチョゴリを着てる人が全員ってわけではないですけど。

人の写真を撮る時は、大抵は「写真を撮っていいか?」聞いてから撮るのですが、けっこう恥ずかしがって断ってくることが多いんです。
子供もカメラを向けると恥ずかしがって隠れることが多いです。
ということで、全般的に北朝鮮人は「シャイなのかな?」という印象を抱いていたのですが、チマチョゴリを着たバアさんたちはオレらを見るなり近付いてきてガンガンに踊りに誘ってきました。オレ以外。

あとは・・・

こいつも怪しい・・・

いきなり「キムイルソン、マンセー!」って言いながら近付いてきた(笑)

近付き方が不自然すぎるだろ!

大衆扇動には一握りの扇動者がいれば充分です。それに、そういう集団心理を使った扇動は社会主義・共産主義勢力が得意とする分野の工作活動ですね。
ピクニックに来ていた一般市民たちの中に、少数のエキストラを紛れ込ませておくだけで充分に彼らが狙っている機能は果たせるでしょう。
外国人旅行者には、北朝鮮人みんながフレンドリーな印象を与えることが出来るし、ここで「楽しかった」と思えば北朝鮮“全体の印象”も良い方向に底上げすることが出来る。
一般平壌市民には、いい娯楽の提供ですよ。あまり娯楽がなさそうな北朝鮮で「外国人の集団が来て、皆と踊っている」というだけで充分な娯楽になり得ます。実際に「そんなに面白いか?」ってくらい皆すげー盛り上がってたもん。

写真を撮る時も「撮りたいな」と思わせる人と、別に興味がない人がいるのですが、エキストラ臭い人たちはカメラのファインダー越しにも興味が湧かない表情をしてました。
そんなわけで、オレが興味を持った人たちを・・・

気付くかと思いますが、皆さんある一定方向を見ています。
踊ってる人たちがいる方向を見ているのですが、彼らは踊りに参加することもなく、ただ周りから眺めています。
彼らの視線の先には、チマチョゴリを着たバアさん連中と踊る外人たちがいるわけです。

オレだけ誰からも誘われなかったので(←しつこい?)、輪の中心に行くことはなく、絶えず中心から離れたところにいたのですが、自分の周りを観察している方が面白かったです。
負け惜しみじゃないぞっ!

ピクニックに来ている人たちの中には、酒を飲んで顔を真っ赤にしながら踊っている人や軍人もいました。
顔を真っ赤にした奴が「Nice to meet you」と金髪のデンマーク人の女の子に握手を求めてきたんだけど、会話がそれ以上進まないにも関わらず女の子の手を離さないとか。
オレにはなぜかおじいちゃんが近付いてきてロシア語で話しかけられ・・・会話にならず、共産主義時代に学校でロシア語を習ったというポーランド人にバトンタッチ。
後で聞いたところによると、おじいちゃんは昔にソ連に留学経験があるそうで、ロシア語が話せるんだって。
他にも「一緒に写真を撮って」と、でっかいフィルム・カメラを持った北朝鮮人たちが(主にデンマーク人の女の子たちに)近付いてきて、記念撮影をしてたりしましたね。

別に一般市民との接触が全面的に制限されているわけではありませんでした。理由としては、言葉が通じないからいずれにしても会話が出来ない(笑)

何気に、建物とかモニュメントにも飽きていたので、写真を撮っていても楽しかったです。

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