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旅の装備(2005)

アフリカ大陸を四駆で駆け抜けるオーバーランダー入門






はじめに
 バックパックを背負ってブラック・アフリカを旅しても、“本当のブラック・アフリカの面白さ”を100%は体験できない。
 ブラック・アフリカの見所は、その圧倒的な大自然にある。 動物すら生息出来ない荒涼とした岩砂漠、真っ赤な太陽がゆっくりと沈んでゆく砂砂漠、野生動物の宝庫サバンナ、エメラルド・グリーンの海が広がるビーチなど、公共交通機関で行けないような場所に行ってこそ、真の“ブラック・アフリカらしい”面白さがある。

 そんなブラック・アフリカを、ツアーではなく自由気ままに旅するために、四駆を購入して南部アフリカ9カ国を回った。
 この話だけをすると、もの凄い冒険をしたかのような反応を示されることがあるが、実際は若干のやる気と、ある程度のお金があれば誰にでも出来る簡単なことである。
 どれほど凄くないことか?と言うと、
●アウトドア経験なし: 自分でテントを張ったことすらなかったのに、いきなりアフリカでアウトドア・デビュー
●車の知識なし: エンジンオイルをどこから入れるのか知らないが、過去にタイヤの交換を1回だけしたことがある
●準備期間なし: 車を購入してから、旅に出発するまでの準備期間はわずか1週間
 以上のように、ものすご〜く適当な旅のスタートだった(実際に何も考えていなかった)が、そんな程度でも出来ちゃうもんである。

 これからブラック・アフリカを旅しようと思っている方のために、自分の装備や体験を元に指南書風にまとめてみた。
 準備は全て南アフリカで行なったため、このページでは南アフリカが基準になっているが、ヨーロッパで四駆を購入してアフリカ大陸を文字通り“縦断”することも可能である。 旅の途中で出会ったヨーロッパ人の中にはタンザニアで車を購入していた人もいたが、現実的にはヨーロッパで購入して南下するか、南アフリカで購入して北上する方が準備面でいえば安心・確実である。
 国境越え情報は、実際に自分で越えた国しか掲載していないが、基本的にはどこも一緒で簡単である。

 バックパックを背負って旅する人を“バックパッカー”と呼ぶが、愛車に乗って旅する人を“オーバーランダー”と呼ぶ。
 ここに掲載した情報を参考にして、今後アフリカを旅する日本人オーバーランダーが増えてくれれば幸いです。



自動車関係
ISUZU KB280D
ディーゼルの2,800c.c.中古4WDピックアップ・トラック。 荷台にキャノピーを取り付けたタイプで、ケープタウンで約158万円で購入。 1996年製で、購入時の走行距離は21万キロ。 アフリカ9カ国を2万1千キロ走った後、ケープタウンで売却。 走行距離23万キロを超えて廃車寸前なのに、約130万円で売れた。 車両本体の購入額から売却額を引いた差額28万は、四駆を1ヶ月レンタルするよりも安い。 南アフリカでは旅行者でも個人名義で車が買える。

3ヶ月間のディーゼル代、修理代を合わせた車にかかった出費は約31万5千円。 この内、車の修理代は10万9千円だったが、程度の良い車で故障が少なければ当然のごとくその分の出費が減る。 1ヶ月のディーゼル代は、1ヶ月平均7千キロ走って約7万円。 ガソリン車の場合、これよりも若干出費が増える。

中古車を買う
まずは毎週木曜日発行の中古車雑誌『Auto Trader』(14ランド)か、毎週水曜日発行の個人売買情報新聞『Cape Ads』(7.95ランド)を読んで、年式、走行距離を比較して大体の相場価格を把握しておく。 購入する場合、個人売買の場合はリスクも高いことを頭に入れておこう。 詐欺の危険性も考えて、前払いはしない方が無難。 手続きの問題も含めて、中古車ディーラーから購入した方が良いと思うが、その場合も必ず数軒まわって比較してみよう。
大体の感覚だが、新車から10年落ちまでは年式ごとに値下がりするが、10年以上たつと廃車まで値段はほとんど変わらない。 また、走行距離と価格は必ずしも反比例しない。

購入時のヒント
素人が中古車を買う場合、怖いのがコンディション。 そこで、まず車をAA Test & Drive(日本のJAFと同じ)に持ち込んで『Technical Report』を作成してもらおう。 詳細な点検結果を作成してくれる。 料金は695ランド(約1万6千円)。 AAの他、陸運局(Traffic Dept.)でも同様の点検をしてくれる。 その点検結果を踏まえて購入するかどうかを決めるのも良い。
どのメーカーの車を買うか?だが、各国の修理工場を見てきた限りではトヨタが一番無難そうだ。

買取保証付きで買う
車を購入する時に心配なのが、売却時にどれくらい値崩れしてしまうか?分からないこと。 結局、車を売るまで出費の合計を計算出来ない。 レンタルであれば旅行する前にある程度は出費を計算出来るが、四駆を長期レンタルすると非常に高くつく。
そこで、外国人向けのレンタカー会社などでは『Guaranteed buy back(買取保証)』付きで車を販売している。 購入から3ヵ月後、6ヵ月後に幾らで買い取るか?明確になっているので売却時の不安が解消される。 また、自動車保険に加入済みで、国境越えに必要な書類も準備してくれ、AA(日本のJAFと同じ)の24時間アシスタント・サービスを受けられるなど、レンタルのような気楽さが良い。

一例;
【ランドローバー ディフェンダー110 TDi (1997)】
販売価格: 105,000ランド(約241万5千円)
3ヵ月後の買取価格: 70,000ランド(約161万円) 差額80万5千円÷3ヶ月=約268,500円/月
6ヵ月後の買取価格: 50,000ランド(約115万円) 差額126万5千円÷6ヶ月=約210,800円/月

【ランドローバー ディスカバリーAuto 4X4(1995)】
販売価格: 70,000ランド(約161万円)
3ヵ月後の買取価格: 44,000ランド(約101万2千円) 差額59万8千円÷3ヶ月=約199,500円/月
6ヵ月後の買取価格: 34,000ランド(約78万2千円) 差額82万8千円÷6ヶ月=約138,000円/月

詳細は下記ウェブサイトにて
Drive South Africa
Drive Africa
運転免許証 南アフリカの運転免許証を所持して旅行した。 SADC(南部アフリカ開発共同体)の加盟国発行の運転免許証であれば、SADC加盟14カ国内で使える。 【SADC加盟国: 南アフリカ、スワジランド、レソト、ナミビア、ボツワナ、モザンビーク、ジンバブエ、マラウィ、ザンビア、アンゴラ、タンザニア、セイシェル、モーリシャス、コンゴ民主共和国(DRC)】
日本の免許証から書き換える場合、手続きに2〜3ヶ月かかる。

他には、
@国際運転免許証(日本の運転免許証も一緒に携帯)
A日本の運転免許証と『翻訳証明(英文)』
いずれかで運転出来る。 翻訳証明は在外日本大使館に行って作成してもらう(南アの場合、発行手数料275ランド)。
書類 持ち込む車の所有証明書に記載されている名義と、パスポートの名義が同じであれば何の問題もなく国境を越えられた。
南アフリカで購入した車を旅行で国外に持ち出す場合、南アフリカ出国時に『DA341』という用紙をもらう。 無ければ無いで大して困らない書類だが、くれたら貰っておこう。 南アフリカ再入国時に提出を求められることがある。 もらっていなかったら「もらわなかった」と言えば済む。
各国に入国する際は『Temporary Import Goods』(一時輸入品)扱いになるので、各国境で車のナンバー、メーカー、モデル、色、エンジン製造番号、購入価格を所定用紙に記入し、車両持込税を払う(税金の詳細は下記項目を参照)。
書類にスタンプを押してもらったら、その書類を出国時まで大事に保管する。

車両購入時に車の登録書に記載される名義の変更は、陸運局で行なう。 個人からでもディーラーからでも購入する場合は、その際の手続き費用をどちらが負担するかを予め明確にしておいた方が良い。
税金 国境越えの都度、税金が発生する。 税額は国によるが、大体1000円〜2000円程度。
地場保険会社の自動車保険加入を義務付けている国では、入国時に加入する必要がある。 国境を越えて直ぐに検問があり、自動車保険に加入しているか確認される場合もある。 加入していない場合、罰金を取られる。

レソト: 車両持込税8マロティを入国時に払う
マラウィ: 車両持込税1200マラウィ・クワチャ、自動車保険(3000マラウィ・クワチャ)に強制加入
ナミビア: 車両持込税120ナミビア・ドルを入国時に払う
ザンビア: 車両持込の手続き代として10ランド相当額、自動車保険(25USドル)に強制加入
ボツワナ: 道路税40プーラを支払った後、道路税支払証明をフロントガラスに見えるように掲示する
ジンバブエ: 車両持込税15USドルの他、自動車保険(30日間16USドル)に強制加入
スワジランド: 車両持込税5エマランゲニ(ランド払い可)を入国時に払う
モザンビーク: 車両持込税26500メティカシュ(ランド払い可)を入国時に払う
保険 南アフリカで自動車保険に入った。 保険会社は『Dial Direct』で、保険料は月額512.44ランド(約8,200円)だった。
旅行で回った国は全てカバーしていたが、事故に遭った時の対応などに関しては未確認。

電話でDial Directに保険加入の意思を伝えると、最寄の提携自動車修理工場を紹介される。 そこへ行き、自分の車の査定をしてもらい保険料を算出してもらう。 保険料は銀行口座引き落としだが、南アフリカに銀行口座を持っていない場合はクレジットカード決済などの方法になる。

地場保険会社の自動車保険加入を義務付けている国では、既に自動車保険に加入している場合でも新たに加入しなければならない。
その他 予備燃料タンク: プラスチック製25g缶×1、10g缶×1の2つで合計35g。 自分の車の燃費から計算して、1000km以上をガソリンスタンドがなくても走れるほどの予備を準備しておけば十分。 でもカラハリ砂漠を無補給縦断出来る量ではない。

ジャッキ: 元々付いていたパンタグラフジャッキが、1ヵ月後に『高さが届かない!』という重大なことに気が付いた。 車高を上げてあったのでジャッキをMAXにしても車が持ち上がらないどころか、車にすら届かない。 意味がないので、ナミビアで“きちんと”車が持ち上がる油圧ジャッキを購入。 他のオーバーランダーがよく積んでいるのはハイリフトジャッキ(バンパージャッキ)。

スペア・タイヤ: 1本のみ。 結局、一度もパンクせずに出番はなかった。 でも、スペアは2本あった方が安心。

冷蔵庫: 安い冷蔵庫を購入した為、“外気温より冷える”程度。 当然、外気温が高ければ冷蔵庫内も冷えない。 町や村で食料を補給してから何もない地方に行くので、1週間分の食料が入る容量の冷蔵庫がベスト。
電源はシガーソケットから取るタイプが一般的だが、バッテリーがあがらないように注意が必要。

モザンビークでは、三角反射板2枚を車に積んでおくことを法で義務付けてられている。 検問で三角反射板を持っているか?調べられる場合があるので、モザンビーク入国前に準備しておこう。


キャンプ用品
テント 4人用テントで、テント内の最高部は160cm。 ケープタウンで約1万円で購入。
予備テントに自衛隊用野戦テントを持って行ったけど、1度も使用せず。 やはり大きいほど楽チン。
車で持ち運ぶ場合は、重さは無視して『組み立て易さ』と『居住性』でテントを選ぶべし。

同じ場所に数日滞在する場合は、地面にテントを張るタイプが良い。 但し、野生動物(ライオン、ハイエナ、ゾウなど)の出没する場所では、それなりに度胸がいる。
ヨーロッパ人に多いのはルーフ・テント(車の屋根の上に張るテント)だが、デメリットもある。 同じ場所に数日滞在する場合、車で出掛ける度にテントを畳まなければいけない。 メリットは、テントを張るのに場所を選ばない。

キャンプ場情報は『南部アフリカのキャンプ場情報』を参照
寝袋 寝袋は、アルファライト500(日本製)。 マットレスはケープタウンで購入。

砂漠は夜に気温一桁まで寒くなるので、毛布などを持って行けば助かる。 さらに、地面が石でゴロゴロしている場所にテントを張る場合は、寝袋の下に毛布を敷けばクッションにもなって重宝する。
テーブル・セット 折畳式イスは2つ準備して出発したが、テーブルがなく不便だった。 出発から1ヵ月半後に、ようやくテーブル購入。
自炊道具 小さなキャンプ用ガスバーナーを持って行ったが、役立たず。 お湯を沸かすので精一杯。
途中で電気コンロ(2つ口)を購入したが、消費電力が大きいためにキャンプ場のブレーカーが落ちる、電源がないと使えないというデメリットあり。

ガスボンベと、ガスコンロ(最低2つ口)を持っていかないと辛い
ライト テント内で使う大型ライトは計2台買った。
まず単1乾電池4本で点くライトを買ったが、直ぐに電池が無くなって不経済(2日毎に電池交換)。
2台目は充電式ライトを買ったが、6〜8時間の充電時間が必要で使い勝手が悪かった。

小型ライトは、手に持つマグライトよりも、頭に着けれるライトの方が便利で重宝した。

ある程度は高いお金を出してでも、良いライトを買うべきだと思う。 陽が暮れた後は、明かりがないと何も出来ない。
その他 蚊帳: 一度も使用せず。 雨季以外は必要ない。
双眼鏡: 必須アイテム。 これがないと野生動物が見えない。
救急セット: 注射器セット(シリンダー、注射針、消毒ガーゼ)は、万が一ワクチンを打ってもらうことになった時用。
ビニールシート: テントの下に敷く際に使用。 テントの底辺面積より大きめを選ぶ。


ガイドブック・地図
ガイドブック Lonely Planet『Southern Africa』: ★★★★★ かなり使える。 南部アフリカを回るのは、これ1冊で十分
Lonely Planet『South Africa』: ★★★★☆ 南アフリカ・レソト・スワジランドの3カ国だけを回るのであれば、これで十分
地球の歩き方『南アフリカ・ジンバブエ・ナミビア・ボツワナ』: ★☆☆☆☆ 使えない。 必要なし
地図 地図を買う時は、@どの町にガソリンスタンドがあるか表記されている、A町から町の距離が表記されている、の2点を必須条件に選んだ。 同じ地域の地図が、違う会社から何種類か出ている場合は、町から町の距離が長めに表記されている方を選んだ。 距離と燃費からどこの町まで行けるか?計算する時に、実際の距離が地図上の距離より長かった場合に困るからだ。
MapStudio『Southern Africa』(150万分の1): ☆☆☆☆☆
InfoMap『Namibia』(140万分の1): ★★★★★
InfoMap『Botswana』(110万分の1): ★★★★☆
Reise Know-How『Botswana』(100万分の1): ★★★★☆


健康管理
予防接種 破傷風、腸チフス、A型肝炎の3本を南アフリカで打った。

毎日テントを張る生活をする場合、破傷風の予防接種は受けておいた方が良い。

黄熱病は、サハラ以南アンゴラ以北でしか感染しない
マラリア予防薬『Doxycycline(ドキシサイクリン)』: 車を運転することを考えて選択。 『メフロキン』は、めまいなどの副作用を合併することが多く、運転する場合は止めた方が良い。 『ドキシサイクリン』は、毎日服用しなければならない(『メフロキン』は週一回)面倒さと、光線過敏症の副作用があり日焼けに弱くなる。 他にも、クロロキン、プログアニルなどの予防薬があるが、予防薬を服用していても感染する時は感染するので、気休め程度。 蚊に刺されないことが一番効果的。

マラリアには熱帯熱マラリア、三日熱マラリア、四日熱マラリア、卵形マラリアの4種類があるが、死亡する悪性のマラリアは熱帯熱マラリアだけ。 熱帯熱マラリアは、最初の発熱があってから5日以内に適切な治療を開始しないと、脳性マラリア、出血症状、腎不全などを併発して死に至る場合がある。 いずれもハマダラカから感染する。



持っていれば便利だなと思ったモノ


品 名 理 由
GPS カラハリ砂漠やチョベ国立公園に入る時には持って行った方が良い。 道に迷って夜のチョベ国立公園を走った時には必要性を痛感。 地図によっては、ポイントを緯度経度で表記している場合があり、特に砂漠など“どこで曲がったら良いのか?”分からない場合に役に立つ。
エアコンプレッサー 砂漠の砂が深い部分を走る時は、タイヤの空気を少し抜いて走れば埋まり難い。 その後に普通の道路に戻ったらエアコンプレッサーでタイヤに空気を補充する。 砂漠を走るオーバーランダーはほぼ100%持っていた。
タイヤの空気を抜けば砂に埋まり難いなんて知らなかったから・・・
スコップ 公衆トイレなどないので、移動中に便意を催した場合はお外で。 小はそこら辺でも構わないが、大は穴を掘って終わった後に埋めるのがベスト。 人間の便を野生動物が食べると自然界のバランスが崩れるらしいです。
ソーラー発電機 無駄に太陽だけは燦々と降り注ぐ日々。 その太陽光から蓄電して、夜の電気に使えばもっと楽だったのに。





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