ビシュケクから乗合タクシーで、コチュコルに向かう。 距離にして170kmほどである。
事前にCBT(Community Based Tourism)というNPO団体を通して、ソン・キョル(ソン湖)までの足として四駆をチャーターしていたので、コチュコルから四駆に乗り換えてソン・キョルに向かう。
ほぼ全土が高原と山岳地帯からなるナルン州の中にソン・キョルはある。
4,400mと3,991mの山々を両側に見ながら、天山山脈の中に入って行く。 最高地点の峠で、3,100m以上はありそうだ。 気温はどんどん下がっていき、寒風が吹き荒ぶ。
山の天気は変わりやすく、最初は青空が見えていたのが、山を登っている途中で雨に変わり、最後にはその雨が雹に変わった。
周りの山々には、まだ残雪が見える。 思わず腕時計の日付を確認してしまった。 確かに7月末である。
海抜3,016mの高さに位置するソン・キョルの周りには見渡す限りの草原が広がっている。 ここでは夏場の間だけ、遊牧民であるキルギス人の生活を見ることが出来る。
彼らは、モンゴルではゲル、中国ではパオと呼ばれているものと同じ可動式テント住宅『ユルタ』で生活しながら馬やヤギを放牧している。
コチュコルから3時間掛かって、ソン・キョルに到着。 車から降りると、半端じゃなく寒い。 何しろ3,016mの草原で吹き荒ぶ風である。 寒いわけがない。
ここにはCBTが運営するユルタがあるので、今晩はユルタで寝ることになる。
ユルタの造りは、モンゴルのゲルとほとんど変わらないと思われる。 骨組みを作る木の柵があり、円形の枠に支柱を結び付けて屋根になっており、その上からフェルトと白いキャンバス布を結び付けて壁と屋根を作っている。
中に入れば風を遮断して、お世辞にも暖かいとは言えないが意外と快適である。 天井の一番上の部分はビニールで覆われており、そこから日光が入り込んで天然の電気の役割を果たしている。
ここには電気も水道もガスも通っていない。
暖房は馬糞を燃料とするストーブ、電気はロウソクである。
長袖シャツの上にTシャツを着、その上に長袖シャツをもう1枚、さらにその上からセーターを着込んだが、それでも外に出ると寒い。
夏とはいえ、冬用の防寒具は必要である。
しばらくユルタの中で激しい雨が通り過ぎるのを待っていると、夕方ごろにようやく晴れてきた。
外に出てみると、な〜んにもない。
ユルタの周りで馬が草を食んでおり、その遠くにヤギの集団がいた。 それだけのシンプルな自然と生活があった。
草原を少し走ってみたが、すぐに息が切れてゼェゼェした。 やはり標高が高い。
夜はすることがない。 持ち込んだウォッカを飲んだが、標高のせいで直ぐに酔っ払った。
仕方がないから、馬のいななきと風の音を聞きながら眠りについた。
旅の出費;
食費: 35ソム
酒代: 60ソム
外食代: 37ソム
生活用品: 5ソム
マルシュルートカ: 5ソム
乗合タクシー(→コチュコル): 160ソム
四駆チャーター(→ソン・キョル): 400ソム
合計: 702ソム(約2,230円)
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